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2021.8.3

東京の真宗大谷派寺院で本堂の耐震改修設計中。漆喰塗下地のモルタル壁には要注意(川島)

2021.8.3

Category: 耐震補強

東京都の真宗大谷派寺院で本堂・書院・離れの耐震改修工事の設計を進めています。

お声をかけて頂いたのは、4月上旬でした。

新型コロナの感染予防で、例年通りの法要ができない間に耐震改修工事を終えたいとのこと。




早速お寺へ伺い、建物の隅々まで調査しました。

その結果に基づき耐震診断を進め・・・6月上旬には、耐震診断報告書を提出しました。


伝統構法の耐震診断に最も適した「限界耐力計算」により診断を行った結果は、
極めてまれに発生する最大規模の地震(震度6程度)で「倒壊の恐れがある」となりました。

伝統構法の建物で、最大の耐震要素は「土壁」です。

ところが、昭和20年代に新築された時には土壁で造られていたのに・・・
昭和55年に行われた大規模な改修工事では、土壁の上にモルタルを塗ったり、木舞下地を撤去してラスボードを張りモルタルを塗ったりと、ほとんどの土壁がモルタル塗りに変更されていました。

もともと耐震壁が不足していることに加え、土壁よりも耐震力の低いモルタル壁であることが「倒壊の恐れがある」の大きな原因です。



△壁の下地が竹木舞なので、もともと土壁であったことがわかります


△木下地の上にラスボードを張り、モルタルが塗ってあります。

モルタル壁を撤去して土壁を作り直すことが最良の方法ですが・・・時間がかかります。

「今のタイミングを逃すと、耐震補強工事はできません。できるだけ早く工事を完成してください」と住職。


そこで、土壁同等の耐震強度を有する、市販の荒壁パネルを採用することにしました。

現在は、9月末の工事着工を目指して・・・より
詳細な現況調査と実施設計を進めています。
 

「土壁」は古くから伝わる構造なのに、その性能が見直され始めたのは、やっと20年前に過ぎません。

耐震診断および耐震補強を行う場合は、現況調査をしっかり行い、土壁?モルタル壁?を見極める必要があります。

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