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2017.4.4

近隣・遠隔地の本堂、古民家耐震診断依頼が続いています(菅野)

2017.4.4

Category: 耐震補強

本堂や古民家の耐震に関するご相談が続いています。
 

最近新築される木造建築は、筋交いで固める構造が一般的です。

一方、土壁構造の伝統建築は・・・
その耐震強度を計算できる設計士が少ない上に、建築確認申請を提出しても、その計算書を審査できる審査官が少ない。そのため、特別な審査機関に持ち込むことになり、費用がかさみ、想像以上の時間がかかります。

ただ、耐震補強に関しては、建築確認申請を必要としない場合がほとんどなので、土壁の粘りを評価する構造計算が可能です。

「審査を受けないからと言って、いい加減な計算に基づいて補強してもいいのか?」そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・実は、この計算方法は国の指定文化財の耐震補強の根拠として認められています。




「ああ、その計算方法は構造設計事務所ならどこでもできますよ」
現実に、計算をしてもらったお寺の住職もいらっしゃいます。しかし・・・

「費用は100万円ほどでした。計算書は分厚くて、何が書いてあるのか素人には皆目わからない(笑)。ただ・・・具体的な補強方法を提案してもらったら、内陣の虹梁の下に金物を取り付けるというのです。これには面食らって」

困った住職からご相談を受け、補強金物が天井裏や床下に隠れることを前提に、構造計算書に基づいた補強方法をご提案しました。




先日、築80年を経た民家の耐震補強に関するご相談を受けました。

25万円必要ですが、先ずは耐震診断することをお勧めしました。お客様のご理解を得たので、現況調査を行いました

弊社スタッフが4人で現地に赴き、男性スタッフ2人は小屋裏に登り、床下に潜り調査。女性スタッフ2人は間取りと壁の位置を測り、柱の倒れ、床の不陸を実測しました。

特に男性スタッフはほこりまみれの作業です。丸一日かかって調査し、約一か月後に耐震診断報告書をお持ちしました。

そして、耐震補強の方針と概算をお伝えしました。


ところが・・・
「菅野さんにお願いする前にハウスメーカーに声をかけていたんですけど、先日、リフォーム後の間取りと工事費、インテリアパースまで持ってきましたよ」とご主人。正直、唖然としました。耐震診断もしないで、どうやって補強方法を考えたのでしょう。




こういう事例は本堂の耐震補強でも多く耳にします。

「知り合いの建設会社に声をかけたら、簡単な調査をして、工事金額を提示してきました。3社に相談したんですが・・・見積り金額がバラバラで、どうしたらいいのか分からなくなって」とか

「本堂の耐震補強工事を終えた住職のご紹介で、建設会社に相談したんです。簡単な調査をした後、見積もりを持ってきたんですが・・・とても高額で」とか。

工事費を算出する前に、現況の調査、耐震診断というプロセスが抜けているのです。


ただ、最近は、「これでいけない」と考える方も増えてきたようです。

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