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2021.11.23

栃木県小山市の日蓮宗 妙建寺で本堂新築。「百人一首の天井画」を修復・再利用 (伊藤(知))

2021.11.23

Category: 本堂新築

栃木県小山市の日蓮宗 妙建寺で、本堂の建替え工事がはじまりました。
築300年の本堂は、、、




間口6間、寄棟屋根に入母屋向拝が印象的な外観。地域の人たちに長く親しまれてきました。
その堂内には、、




本堂としてはたいへん珍しい「百人一首の天井画」や、色彩豊かな彫刻欄間が目を引きます。
小山市の「おやま百景」にも選定されています。

新築本堂では、
この「百人一首の天井画」を修復・再利用して、格天井を復元します。
また、「折り上げ天井と龍の絵」や彫刻欄間、組み物、向拝の彫刻なども再使用する設計です。

工事着手早々の11月5日、再利用部位の生かし取り作業のために、多くの専門家が現場に集まりました!

〇作業の段取り・仮設を担当:栃毛木材工業の現場監督の田村さん(会館新築工事もお願いしています)
〇解体作業を担当:坂本工業の職人たち
〇調査・修復の統括:東京藝大大学院の保存修復日本画研究室 荒井経先生と研究室の皆さん
〇修復作業を担当 :水戸市の表具師、泰清堂さん
〇生かし取り作業を担当:松浦建設(株)の宮大工たち(本堂の新築工事もお願いします)

住職、奥様、下野新聞の記者がみまもる中・・・
生かし取り部位の確認・指示をして、スペシャリストたちに作業を任せました。




作業は3日間の予定でしたが、、
初日で、作業の半分以上を完了することが出来ました!

スペシャリストたちの手際のよさには、見とれてしまうばかりでした!!


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↓以下に、作業の流れを紹介します。

①仮設準備


作業足場を組みます。中央が空いているのは、、、
「折上げ天井と龍の絵」をそのままの形で床に下ろすため。 なるほど!

②「百人一首の天井画」のとりはずし。


絵が描かれた30mm厚の天井板が割れないよう、慎重に釘を抜き取り外していきます。
とはいえ、作業はとてもスピーディー。東京藝大の研究室の皆さんにバトンリレーです!

③梱包~搬送。


天井画の梱包用箱が54枚分準備されました。


天井板の上に積もった埃や土をクリーニングします。


どの絵がどこにあったのかを研究室の皆さんがシッカリと管理して、次々と梱包~搬送されていきます。

④「折上げ天井と龍の絵」の生かし取り


折上天井は四周の支輪も再利用するので、
まとまった形で生かし取り、地上におろしたあとに分解をする段取りです。

先ず、電動ホイストとスリングベルトで小屋梁に固定し、大工が格縁を1本ずつ慎重に切り離していきます。

切る順番を間違えると、大きくバランスを崩し、天井が落下する危険もあります!



龍の絵を傷めないように、慎重に床の上におろしました。
この時ばかりは、全員が息を呑んで作業を見守りました。

⑤柱頭の組み物、支輪、向拝の彫刻の生かし取り


柱頭の組物や支輪は、ひとつずつ解体していきます。


向拝の虹梁・木鼻や、組物・彫刻類も生かし取りして、再利用します。
龍の蟇股は、北関東ならではの彫りの深い彫刻です。

これらの部材は上部の荷重を受けているので、屋根や野桁を解体した後に、大工が分解していきます。


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多くのスペシャリストが共同作業したおかげで、再利用材を無事生かし取りすることができました。

新築本堂に「百人一首の天井画」を嵌めこんだ格天井や「折り上げ天井と龍の絵」が復元される時が
今から楽しみです。

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