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2021.6.1

横浜市の高野山真言宗 遍照寺の本堂耐震改修、桧製「格子パネル」を取付け(伊藤知)

2021.6.1

Category: 耐震補強

横浜市の高野山真言宗 遍照寺で、本堂の耐震補強工事が進んでいます。
施工は競争見積もりの結果、石川県能美市の松浦建設(株)にお願いしています。

現在の本堂は、関東大震災で倒れた前本堂(1790年建立)の古材を再利用して建てられ、
その後、改修・修繕を重ね大切に使われてきました。

しかし、現況調査の際に、いくつかの問題点が判明しました。

ひとつ目は・・・
柱が向拝方向に大きく傾いていること。

建物が傾いたままで補強を行なっても、設計通りの強度が得られません。

そこで、耐震補強工事に先立って「建て起こし」を行ない、柱の倒れをできる限り矯正しました。



しかし、もうひとつの問題が。
それは、本堂としての使い勝手から「耐力壁」を設置できる場所が限られるため、
構造計算の結果に基づく量の「耐力壁」を堂内に新設できないこと。

そこで注目したのが、、床下空間です。




「格子パネル」による耐力壁を床下の柱脚部分に設置することで、不足分を補いました。

「格子パネル」であれば、写真の通り、通気性も確保できます。




使用した「格子パネル」の数は合計65枚。
大工が桧の角材を加工して、一枚一枚、組上げました。





本堂内陣は金箔が貼られているので、内側に耐震壁を新設することは困難でした。
そのため、外壁を壊さずに、屋外側から「格子パネル」を取り付けました。

耐震性能を担保する重要な構造体なので、風雨にさらされないように外装材で仕上げをする予定ですが・・・
それが残念に思えるほど綺麗で、見栄えのよい仕上がりです。




本堂の間仕切り壁にも「格子パネル」を取付けました。

「本堂が丈夫で、地震に強く生まれ変わりつつあることが実感できますね。
檀信徒の皆様もきっと喜んで下さるでしょう」と住職。

完成まで、あと一歩です。

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