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2016.12.13

伝統の匠の技を知る!弊社設計の多治見市永保寺で研修(伊藤絵)

2016.12.13

Category: トピックス

菅野企画設計はお寺の設計も得意としています。
 
岐阜県多治見市の虎渓山永保寺は紅葉の名所として知られ、モミジやイチョウが色づく頃には、多くの観光客でにぎわいます。
 
この永保寺が2003年の夏、火災に見舞われました。幸い国宝に指定されている観音堂と開山堂は類焼を逃れましたが、本堂・庫裡・大玄関が全焼しました。
 
その後、全国の設計事務所によるプロポーザルコンペが行われ、弊社が設計監理の大役を任されました。そして、2007年に庫裡完成を経て、2011年には本堂・大玄関も完成しました。



本堂竣工時の外観

完成した当時、菅野企画設計に在籍していなかったスタッフも増えたため、全員で研修に出かけました。当日は、永保寺の塔頭のひとつ、保寿院の住職にも同行していただきました。




現在の名工でも、なかなか手がけることのできない伝統的な仕事を、保壽院様や菅野の説明付きで見学できる機会はそうそうありません。



写真は、庫裡の中にある書院です。
 
実は・・・花頭(かとう)枠や違い棚には、伝統的な和の工夫が隠れています。




近寄ると・・・花頭枠は、透き漆仕上げ(杢目が透き通って見える塗り方)。
見付けは、丸みを帯びたかまぼこ面に加工されています。
ところが・・・複雑な曲線なのに、杢目がきれいに通っていて、継いだ後がありません。




裏側を覗くと・・・その秘密がおわかりいただけますか?
一枚の厚いケヤキ板から削りだしてあるのです。
これなら、美しい杢目が透けて見える上に、狂いや割れも防ぐことが出来ます。
 
また、その隣にある違い棚は・・・




ここにも、匠の技が隠されています。
仕上は透き漆。杢目が透き通って見えます。
よく見ると・・・正面と側面の小口の杢目がきれいに続いています。
 
通常、板の小口の杢目は、正面と側面では食い違っています。




しかし、これでは美しくない。
というので、燕蟻(つばめあり)という加工が施してあるのです。



燕蟻は、板材の反りを防止する役割も兼ねています。
美しさにこだわり、木の特性を知りつくした職人ならではの技です。
 
「設計士が伝統的な工夫の意味や、その美しさを知らなければ・・・
職人の努力に報いることができないし、「和」のデザインもできない。先ずは、本物を知らなければいけない」という菅野の言葉で、今回の研修は終了しました。
 
「和」の設計を手がけている菅野企画設計のスタッフでも、普段なかなか目にすることのない、上級な手仕事にふれることができた貴重な時間でした。
 
永保寺についてもっと知りたい方はこちらをどうぞ。
本堂:http://www.sugano-k.com/jiin/gallery/detail/8
庫裡:http://www.sugano-k.com/jiin/gallery/detail/5



 

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