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2018.9.18

神奈川県で日本建築新築。彫刻家や画家とのコラボ進行中!(菅野)

2018.9.18

Category: トピックス

日本建築は、長くアーティストたちのコラボレーションの場になってきました。

例えば寺院伽藍なら、虹梁の唐草、蟇股、欄間、木鼻、懸魚などを彫刻する彫り師や襖絵、障壁画を描く絵師。屋根の鬼瓦を製作する鬼師、錺金物の文様を打ち込む彫金師などなど。それぞれが個性豊かな、一流のアーティスト達でした。

しかし、時代が下るにつれ、残念ながら図柄や技法が定番化し、創造性が欠如してしまったように思います。

それは大工やデザイナーも同じこと。ああやってみよう、こうやってみようという意欲より、「匠明」に詳しいことが尊重される風潮は困ったものです。


「創造的なアーティスト達とコラボレーションした日本建築を造りたい」それが、今までも、これからも変わらぬ私の想いですが・・・

またひとつ、神奈川県で新築される日本建築で、その想いが実現します。



建物の天井には・・・周辺地域の伝説に基づき、五頭の龍の彫刻を嵌め込みます。

厚15cmのケヤキの板から彫り出し、長さは14mに及びます。雲の中をのたうち回る迫力満点のデザインです。

現在、神奈川県在住の彫り師、井上さんが黙々と荒彫りを続けています。

彼は神奈川県海老名市の海源寺本堂に、勢いのいい龍を彫り上げてくれた方で、私は彼の龍がとても気に入っています。




屋根の上には・・・シビではなくイルカを載せます。広い世代の方に、親しんでもらいたいからです。

イルカは計7体。いろいろなポーズで、屋根の上を飛び跳ね、遊ぶデザインです。

現在、新潟県在住の彫刻家、菅野(かんの)さんが2mm厚の銅板をトントンカンカン叩いて、イルカの頭を成型しています。

今まで彼には、鋳造、鍛造、石彫、木彫いろいろお願いしてきましたが、何れも期待した以上の出来で、類い稀なその才能には、感心するばかりです。

 



建物の窓には・・・やはり、この周辺の伝説に基づき、天女をあしらいます。

天女はガラスにエッチングする予定で、そのデザインは神奈川県在住の日本画家、石原さんにお願いしています。

依頼主の要望に応えながら絵を描くのは、彼女にとって初めての経験なので、戸惑うことも多いようですが・・・「コラボするということが少しづつわかってきました」笑顔でそう言ってくれています。

先日は、エッチングをお願いする予定の工場を一緒に訪ねました。その結果、モックアップを作って反射の様子や見え方を検証することになりました。

 
今回の依頼主は大手企業です。

「完成した芸術作品を購入することはありましたが・・・こんな依頼をすることは、異例中の異例なんですよ」は担当者。

そんな話を聞くと余計に、期待を裏切るわけにはいかない! 大きな責任を感じて、作業を続けています。

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