日本建築の納まりには、一見すると気付かない細やかな工夫が隠されています。
 
例えば、天井から下がっているこの木材、何だか分かりますか?
 
これは、「吊り木(つりぎ)」と呼ばれる部材で、天井を支えるための重要な役割を担っています。
天井なのに「吊る」とは、少し不思議に感じると思います。
 
この和室の天井は「竿縁天井(さおぶち てんじょう)」といい、伝統的な和風の意匠です。
 
どのように施工するかというと・・・
 
1、「吊り木」の間に「野縁(のぶち)」を渡し、その下に「竿縁」を固定。
 
 2、竿縁の上から天井板を留め付けて仕上げる。
 
  
このように、天井板を上から留めることで、釘や留め金物が表に出ず、すっきりとした美しい仕上がりになります。
竿縁天井は、シンプルに見えて実は手間のかかる意匠なんです。
伝統的な和風デザインは、細心の注意が必要ですが、大工の腕の見せ所でもあります。