まずは詳細な
現況調査から
古民家の多くは伝統構法で造られています。石の上に柱を立てる石場建、柱の間には貫を通し、壁は土壁で仕上げています。柱と梁は、大工が加工した仕口で接合されています。
地震の力を受けると、建物が揺れ、土壁が歪み、力を逃がします。
ところが、一般的に行われている耐震診断は、剛性(変形しにくさ)を評価します。
柔軟性が特徴の古民家は、その指標での判断が難しいのです。
行政が無料で行っている耐震診断は、剛性を評価する耐震診断法であるため、古民家には適していません。
菅野企画設計では、「伝統構法」の柔軟性を評価する耐震診断を行っています(限界耐力計算という構造計算を用います)。
土壁や足固め、差鴨居など、通常の耐震診断では評価できない要素を、耐力要素として評価します。
そのため、行政の無料診断を受けたとしても、弊社で再度耐震調査を行わせていただいております。
まずは、図面がない場合がほとんどですので、実測調査を行い平面図、屋根伏図、断面図、構造伏図を作成します。耐力要素の調査を行い、耐震性能をグラフを用いてわかりやすくご提示します。
また、劣化や木材の腐食、虫害も耐震上マイナス要因となるため、床下から小屋裏までしっかりと目視確認を行い写真でご報告します。
柱が傾いているか、床が下がっていないかを調査します。この結果に基づき、柱の倒れが大きい場合には建て起こしを行ったり、地盤沈下が推測される場合にはジャッキアップを行ったりします。
古民家の持つ力を
最大限に活かす
一般的な耐震診断に基づく補強は、基礎を新たに造り、土壁を壊して筋交いを入れます。
余分なコストを掛けて、元々民家が持っていた力をわざわざ奪ってしまっているのです。
菅野企画設計では、伝統構法に適した「限界耐力計算」で解析を行い、土壁の耐震力を最大限活かす耐震補強を行っています。また、構造計算は日本建築構造技術者協会のチェックを受け、より信頼度の高いものにしています。
すべての古民家に伝統構法による補強が適しているというわけではありません。建物の構造や、お客様の希望の間取りを叶えるためには、一般的な耐震診断に基づく補強が適している場合もあります。
建物に応じて、より最適な提案ができるのも菅野企画設計の強みです。