岐阜県で進めてきた木造二階建て住宅の新築工事が完成しました。
この家には、お客様の思い出が詰まった“特別な建具”が組み込まれています。
設計の打合せが始まってすぐ、お客様からこんなご相談をいただきました。
「ガレージに、昔使っていた建具があるのですが、見てもらえませんか?」
細かい竪格子が特徴の『千本格子引き戸』。
今つくろうとすると、大変な手間とコストがかかる、貴重な建具です。
引き戸高さは1,735mm。
当時としては標準サイズですが、現代の建具(一般的には2,000mm)と比べると、少し低めです。
「使えそうなら、使ってほしい」
お客様のご意向を受け、どこで使おうか、と検討した結果…、

6帖の玄関土間と廊下を仕切る建具として迎え入れることにしました。
玄関土間の吹き抜けのおかげで、建具の低さはまったく気になりません。
また、建具の上部は、欄間を入れずオープンにしたので、圧迫感もありません。
建具の千本格子と、ロフト手すりの竪格子・・・、
上下に格子が並んでいるのに不思議とうるさくなく、むしろ心地よさを感じます。
やはり、格子は、私たち日本人の暮らしに自然と馴染む“和のかたち”なのかもしれません。