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2019.1.29

神奈川県の日本建築でアーティスト達とのコラボレーションが進行中(菅野)

2019.1.29

Category: トピックス

日本建築は、長くアーティストたちのコラボレーションの場になってきました。

例えば寺院伽藍なら、虹梁の唐草、蟇股、欄間、木鼻、懸魚などを彫刻する彫り師や襖絵、障壁画を描く絵師。屋根の鬼瓦を製作する鬼師、錺金物の文様を打ち込む彫金師などなど。それぞれが個性豊かな、一流のアーティスト達でした。

しかし、時代が下るにつれ、残念ながら図柄や技法が定番化し、創造性が欠如してしまったように思います。


「創造的なアーティスト達とコラボレーションした日本建築を造りたい」それが、今までも、これからも変わらぬ私の想いですが・・・

新築工事が進む日本建築で、そのコラボレーションが進行中です。

この建物は公共的な機能を持っているので、幅広い世代の人に喜んでもらえるように・・・
ホールの壁には幅14mの龍の木彫刻を飾り、屋根の上にはイルカや龍の頭を載せます。


ただ、お客様より安全性と耐久性の確保をきつく言われています。


建設会社の現場事務所に彫刻類を持ち込み、取付方法を検討しました。

当日は、製作を担当している木彫刻家と金属彫刻家も参加しました。

龍の彫刻は14パーツに分けて彫り、現場で組み立てながら固定する計画です。

「各パーツは12cm角の化粧垂木と4~5カ所の貫通ボルトで固定するつもりです」
「じゃあ、彫刻の穴の位置をべニアに写し、それを定規にして垂木に穴をあけよう」
「でも、化粧垂木は鉄骨で補強したほうがよさそうだね」

 



龍の頭の取り付け方を検討しました。

龍の頭は唐破風屋根の鬼瓦の代わりで、棟から胴がにゅるっと姿を現し、地上の人々を睥睨するデザインです。

「唐破風の原寸図は描けていますか」
「はい」監督が原寸図を広げましたが・・・
「これじゃあ、取り合いがよくわからないなあ」
「顎の下に利根丸が来て、袖丸が胴にぶつかってくれるといいんだけど」
「龍の頭は鋳物だから現場で調整することができない。棟部分のモック(原寸模型)がないとうまく納まらないだろうね。棟梁に造ってもらいましょう」
「それがあれば、助かります」

 



次にイルカの固定方法を検討しました。

「このステンレスパイプを建築に固定してもらえませんか。イルカのお尻からそれより太いパイプを突出させて、現場で嵌めこみます」
「なるほど。しかし、防水対策は?防水紙だけでなく、屋根の鈑金もパイプの中に立ち上げたいね」
「パイプの直径の差で何とかなると思います」
「イルカは回転しない?」
「中のパイプに窪みを作って、上のパイプからボルトで固定するので、大丈夫です」

 

打ち合わせは大変盛り上がり、充実したものになりました。

それは、アーティストたちが持ち込んだ彫刻を見て・・・
「本当にケヤキの板から、手でこの龍を彫り出したんですか!」
「銅の板を叩いて、このイルカを造ったんですか!」

参加者の感動がその下敷きになっていたと思います。やっぱり、手づくりは楽しい!のです。

この建物が完成して、多くの方に笑顔を与えられるように、これからも作業を続けます。

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