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2020.3.31

滋賀県の真宗大谷派 明楽寺本堂、耐震補強の前後で『常時微動測定』(川島)

2020.3.31

Category: 耐震補強

  
滋賀県長浜市の真宗大谷派 明楽寺で、本堂の耐震補強工事が完成しました。
 
明楽寺の本堂は、間口26m(約14間)× 奥行25m(約14間)。
屋根の面積は、約950㎡(約270坪)と巨大です。
 
△瓦を土葺きから釘留めに換え、屋根を軽量化しました。
 
初めてお寺に伺ったのは、2018年5月でした。
 
堂々たる外観だけでなく、天井高5.8mの堂内にはふんだんにケヤキが使われ、細工も秀逸。
「間違いなく文化財クラスの建物だ」と所長の菅野。私も同じ思いを持ちました。

 
いつ文化財になってもおかしくない建物です。
後世の人に誇れるような補強方法を慎重に検討し、設計を行いました。

 
約300年以上前に建てられたと伝えられる本堂は、『伝統構法』で作られています。

『伝統構法』の特徴である土壁や貫、差鴨居、足固めを耐震力として評価できる『限界耐力計算』を使い耐震補強の設計を進めました。
 
『限界耐力計算』による補強内容を(社)日本建築構造技術者協会関西支部(JSCA関西)に提出し、以下の「木造建築の耐震設計レビュー結果報告書」が返ってきました。



菅野企画設計では、計算結果及び補強設計を第三者機関に確認してもらいます。


補強方法を一部ご紹介します。
 


△土壁同等の粘りを持つ「荒壁パネル」での補強。
堂内に新たに設けた耐力壁は、外陣両隅の壁だけです。


 
△耐震壁の外に桟唐戸を取り付けたので、外観の見栄えは変わりません。

△小屋裏も荒壁パネルで補強
 
施工の難しい場所ですが、見た目を変えないように、できるだけ小屋裏や床下を使って耐震補強をしました。
 

△格子壁での補強
 
品のいい桧製の格子壁は、伝統建築によく馴染みます。
 
また、床下に設置した場合は、空気の流れを止めないという利点もあります。

補強の効果を知るため・・・
補強前と補強後に『常時微動測定』を行いました。
 
『常時微動測定』では、人が感じることのできないような微細な揺れを建物に与えることで、固有振動数を測定し・・・建物の剛性や耐力を知ることができます。
 

測定は岐阜県立森林文化アカデミーの小原教授と行いました。
小屋裏の梁の上に測定器を設置すると・・・
リアルタイムでモニターに振動数が表示され、記録されていきます。
 
数日後、『常時微動測定』の結果報告書が先生から届き、明らかに補強されていることが確認できました。

菅野企画設計では、今後もデータを蓄積し、耐震補強設計に活かしています。

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