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2022.2.8

茨城県日立市の真宗高田派 覚念寺で本堂新築。檜皮葺き屋根を銅板葺きで再現(川島)

2022.2.8

Category: 本堂新築

茨城県日立市の真宗高田派 覚念寺で入母屋造り銅板一文字葺き屋根の木造本堂を新築中です。
工事は、石川県能美市の松浦建設株式会社にお願いしています。

設計のスタートに当たり、
「教本どおりでは物足りないから、社内で研究して、より美しい銅板屋根の本堂を設計しよう!」
と所長菅野。

そこで、檜皮葺き本堂の屋根を研究することにしました。

 

歴史を少しひも解くと…
銅板葺きが寺院建築に普及し始めたのは江戸時代。

それまでは、瓦葺き、檜皮葺き、杮葺きが一般的でした。

しかし、銅板葺きが檜皮葺きの軽やかな意匠を再現でき、防火性や経済性が高い上に工事期間も短くできるため・・・次第に、檜皮葺きが銅板の一文字葺きに代わっていきました。

ただ、檜皮葺きと銅板の一文字葺きでは屋根下地の作り方が全く違うため・・・
銅板一文字葺きに都合のいい工法が確立し、現在に至ります。

 

「従来の銅板一文字葺きの屋根に比べて、檜皮葺きのほうが軒の線がシャープで美しい。
今回は、檜皮葺きの本堂をお手本にしよう」と菅野。

こうして、檜皮葺き屋根を銅板葺きで再現しよう!に決まりました。



△早速、国宝に指定されている檜皮葺き本堂、滋賀県の金剛輪寺・善水寺、奈良県の長弓寺の実測図を手に入れ、現地を訪ねました。
 

実測図と本堂を見比べながら、軒付けの形状、反りや箕の甲の落ち、破風の曲線から銀杏切りの形まで、微に入り細に入り検討しました。



中でも、箕の甲の形状は屋根の形を決める大きな要素です。
 

現在、覚念寺本堂の新築現場では、屋根下地造りの真っ最中です。

「箕甲の下地ができたので確認してください」

芦田棟梁から連絡を受け、菅野と共に現場へ赴きました。



箕甲部分に木製の櫛型を並べ、その上に細い角材を流して、形状がわかる様にしてあります。

「イメージより丸っこいので、30mmほど櫛型の天端を削って下さい」と菅野。
「わかりました。直ぐに造りなおしますから、待っていて下さい!」と素早く作業を進める棟梁。

30分ほどで修正し、改めて箕の甲を見上げながら・・・
「とても良くなりましたね!」と棟梁も納得の様子です。




△打合せから数日後、棟梁から送られてきた写真

棟梁はもちろん、現場で作業を進める職人全員、手間を惜しまず気持ちの良い仕事をしてくれることに、心より感謝です!

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