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2017.12.19

愛知県一宮市のお寺から客殿・庫裡新築マスタープラン依頼(大江)

2017.12.19

Category: 客殿・庫裡新築

愛知県一宮市のお寺から・・・
庫裡(住職家族の住宅+大広間+配膳室などをひと棟に納めた建物)建て替えのご相談を受けました。

弊社では、お寺からこのようなご相談を受けた場合は先ず、マスタープランの契約をしていただいています。

マスタープランとは・・・
敷地や現況の調査を行い図面化、お客様の要望を叶える間取りの検討、
各種法律のチェック、外観や内観のパース(透視図)、模型作成を行います。
同時に、お客様のご予算に合わせて建物のグレードを決め、工事費の概算を算出します。


間取りや配置、外観をまとめる前に必要になるのが法律のチェックです。

先ずは建築基準法・・・

敷地に接している道路が【2項道路:幅員4m未満の道路】である場合、
道路の中心線から2m以内に、建物や塀を造ることができません。

お寺の設計では、この法律が大きな問題になることが少なくありません。

隣家のために、お寺の境内地を道路として供出した。
ところが・・・その後、建築基準法ができると
「道路中心線から2m以内に本堂の屋根が入っているから、移動してください」
「そんな馬鹿な!」
しかし、市役所は過去の歴史に配慮してくれません。
客殿を新築するに当たり、やむなく、本堂を曳き家したお寺もあります。



△本堂の曳き家

今回は、市役所で道路台帳を調べたところ・・・
接している道路は、幅員4m以上の市道だったので、既設の伽藍や塀を壊す必要はありませんでした。
しかし、道路については予期せぬことが多いので、計画を始める前に必ず市に出かけて調べるべきです。


次は、消防法・・・

境内には本堂や書院などの伽藍が建ち並び、渡り廊下でつながっています。
各棟の床面積は・・・

・本堂棟 400㎡ ・書院棟 250㎡ 

計画中の庫裡の面積は 480㎡程度になる予定なので・・・合計すると1000㎡を超えます。

消防法では、床面積が1000㎡を超える木造寺院には、屋内消火栓を設置しなければいけません。
しかし、この設備を完備するするためには、高額な工事費が生じます。

そこで、対策を検討し、消防局へ相談に。

長さ6m以上の渡り廊下、耐火構造の建物をうまく配置することで、
屋内消火栓設置を逃れる方法を考えました。



△耐火構造の廊下で本堂と庫裡を接続した例。廊下の両側に防火シャッターが設置されています。

そんな法律チェックを踏まえて、間取りを検討しました。
はたして住職の反応はいかに・・・。



 

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