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2017.11.28

高齢者の利用が多い寺院設計で培うバリアフリーのノウハウ(川島)

2017.11.28

Category: トピックス

最近は、車いすでも参拝できるように配慮するお寺が増えてきました。
10月に完成した名古屋市内の龍珠寺伽藍整備工事では、駐車場から山門へ上るスロープを造りました。



設計図はバリアフリー新法に基づき描きました。

スロープの勾配は1/15(1mの距離で15㎝上がる)。ちなみに、新法では1/12以上です。
有効巾は120㎝を確保し、踊り場は高さ75㎝以内に設け、手すりも設置しています。




「図面で理解するだけでなく、実体験をしながら設計の感覚を磨く」
菅野企画設計のモットーに従い・・・
事務所所有の車いすで実際に上ってみました。

すると・・・
法律に従っているにもかかわらず、まだ30歳前の私の体力でもきついと感じました。
今回は、介助者付き添いを前提にしているので問題はありませんが・・・
自走を前提にする場合は、もっと勾配を緩くするべきです。


犬山市のお寺から、本堂に上るスロープの設計依頼を受けました。

境内には樹木が点在しており、スロープとして使える敷地が限られています。
1/15勾配のスロープは、高さの15倍の長さが必要ですが、とてもそんな距離は確保できません。

「介助者がいるなら、長いスロープより、小さな段差の方が楽だと聞いたことがある!」と菅野。
さっそく調べてみると・・・
某行政機関が紹介している「段差を軽減した段差解消」をみつけました。




この方法では、1mごとに10㎝の段差(1/10)を設けています。
これならば、スロープよりも距離が短くなり、限られた敷地でつくることができます。

実物大の段差をつくり実験をしました。




すると・・・
段差が10cmでは、車いすのステップが上段に当たってしまう。
平場が1mでは、介助者が力を入れにくいことが分かりました。
「もう少し平場を長く、段差は小さくしたほうがよさそうだね」


これからはますます高齢者に配慮し、誰もが使いやすいデザインが求められます。
菅野企画設計では、高齢者の利用が多いお寺の設計で培ったノウハウを、住宅や店舗、病院設計にも生かしていきます。

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