スタッフBlog

2016.12.13

完成後5年の岐阜県多治見市 虎渓山永保寺でスタッフ研修(菅野)

2016.12.13

Category: トピックス

現在千葉県で、臨済宗寺院の全伽藍新築の設計を進めています。

実施設計を進めるに当たり、スタッフの研修を兼ね、永保寺本堂・庫裡を訪ねました。

永保寺本堂・庫裡は、2011年に弊社の設計で完成しています。
伽藍は、5年の年月を経て、風格を増していました。その姿を目の前にして・・・
本堂・庫裡を設計した時のことが蘇りました。

お寺から依頼された仕事は、火災で全焼した旧本堂・庫裡再建の設計監理でした。
とはいうものの、設計図が残っていなかったので、写真を収集したり、瑞巌寺、圓福寺、円覚寺、瑞龍寺、正眼寺など
全国の禅堂を巡り、試行錯誤しながら設計図をまとめました。もう、12年以上前のことです。




写真は、本堂・大玄関の北側の外観写真です。こちら側の写真は珍しいので、ご紹介します。

本堂の屋根は桧皮葺きの入母屋造り。禅宗の本堂としては珍しいむくり屋根です。

桧皮葺きは、桧の皮を少しづつずらしながら重ね、竹釘で留めていく、手間のかかる工法です。また、むくりというのは反りの逆で、凸に膨らんだ形状です。

桧皮が陽に焼けて、優しい表情の屋根になりました。ちなみに、約35年で葺き替え時期を迎えます。




当日は、山内の保壽院住職が案内してくださいました。

「ここは、雲水が食事をするところです。畳に座って食事をいただきます」

この棟は、本堂と庫裡をつなぐ廊下にもなっています。庫裡からの出火で、本堂が全焼した教訓を生かし、天井の上にもう一枚、不燃材の天井が貼ってあります。

また、庫裡、本堂との境には防火シャッターが仕込まれています。

障子の外に、防火戸が仕込まれていて、いざという時には、その戸を閉めて類焼を防ぎます。




再建に際しては
〇使いづらかった間取りを変更
〇本堂の軒を深くして、外観を整える
〇本堂懸魚のデザインを鳳凰に変える
〇書院の竹の節欄間に透かし彫りを入れる
など、旧伽藍の面影を残しながら、改良を加えました。

写真は、大方玄関脇のたて樋の足元です。境内を囲うように流れる土岐川の石を利用して、樋を固定しました。そして、石には亀が!

こんな遊び心が随所に散らばっていますので、永保寺を拝観された折に、是非探してみてください。

記事一覧