この家は祖父が建てた家。
私が、そして、父が育った家。
「この家を造る時は10年以上の年月をかけて
木材を集めたそうだ」父はそう話していた。
この家は時には重荷だったけど、
誇りでもあった。
妻と二人で暮らすには広すぎる。
でも、このままの姿で残していきたい。
きっと、息子もわかってくれるはず。
「せっかく残すのですから、地震に強く、耐久性の
高い構造にしてください」
建物の下に鉄筋コンクリート製の基礎を造り、最新の耐震設計に
従い、壁を補強しました。これで、大きな地震が来ても安心です。
「こんな大きな鬼瓦は地震がきたら危ないですか」
「でも、この家の特徴ですよね。
屋根が重 い分構造を強くすれば大丈夫ですよ」
ただ、豪壮なこの鬼瓦は、特別に焼いてもらわないと
手に入りません。だから、補修して再利用しました。
「すばらしい建具ですねえ」
「そうですか?でもだいぶん歪んでしまって」
仏間周りの襖紙は、金の型押し。
ちょっとやそっとでは手に入らない貴重品です。
再利用する建具は一本一本補修し、新調した建具は
現代の匠が丁寧に造りました。
打ち合わせに伺うたびに床の間の掛け軸が
変わっています。
「いやあ、つまらん軸ばかりで、お恥ずかしい」
そうご主人は謙遜されますが・・・。
玄関に床の間を造りました。
耐震補強:
増築を伴わないような古民家再生は、法律上の規制が
ないので、工学的な知識がない人でも、
自分の判断だけで補強工事をすることができます。
とても危険な状況だといえます。耐震補強にはいろいろな方法が
あります。筋交いで固めるやりかた、土壁の粘りを利用する方法、
どういう補強を採用するかによって、基礎の形状も変わります。
せっかく長い時代を生きてきた古民家なのですから、
一棟一棟の構造的特徴をよく調査し、最適な補強方法を
採用する必要があります。
































