武井豊治著「古建築辞典」を紐解くと、
「猿」とは……雨戸や開き戸の框にとりつけ、柱・鴨居・敷居などの孔にさし込んで戸締りとする木製または金属の小片とあります。

▲古民家で見つけた「落とし猿」先日、古い家の建具でこの「猿」を見つけました。写真をご覧ください。桟の上に載っている木片をスライドすると、建具の上框を貫通して鴨居に刺さっている木の角棒が下に落ちる仕掛けです。鍵の一種で「落とし猿」と呼ばれています。
このお宅は築100年以上経っている!ということは、この工芸的な木加工も長い年月の使用に耐えてきたということです。素晴らしいことだと思います。
でも、どうして耐えることができたのか?
それは、木という素材に敬意を払って使っているからです。木にお礼を言いながら使っているからです。木は生き物だから当然狂う、だから加工に工夫をする。木は繊細な材料だから割れやすいし傷がつきやすい、だから丁寧に扱う……使うこちらが配慮する。注意する。それが当然の態度ですよね。日本の木工技術はそういう態度の上に発展してきました。
しかし、最近、木を工業製品と勘違いしている人が増えているようです。

▲菅野企画設計ではこんな大径木(直径38cm)を使う寺院も設計しています。情けないことに、少しの割れも、狂いもクレーム対象になってしまう・・・だから、ハウスメーカーやマンション業者は木の無垢材を使いたがらない。材木もどきばかりで造る「木のぬくもりのある家」なんて、笑うに笑えない現状。
私たちは、木に対する感受性、加工技術は日本文化の最も大切な部分だと考えています。だから、木材もどきではなく、無垢の木と向き合って、これからも仕事をしていきたいと思っています。