古民家を移築再生して実際に暮らしているという人の体験記を読みました。
その本はメジャーな出版社から発売されており、インテリア写真はきれいだし、著者もエッセイスト、古民家の魅力を上手に表現していました。ところが……
「古民家暮らし トラブル奮戦記」という文章を読んで正直驚きました。その記述を抜粋すると
ある冬晴れの寒い朝。二階寝室のテレビに水のようなものがこぼれているのを発見した・・・気がつくと、廊下やロフトに置いてあるたんすの上にも、垂れているではないか。二階の手洗いの床、二階の四畳半の和室にもぽたぽた落ちている・・・ひょっとして、これは脂(やに)!・・・垂れているところを探していくと、全てが北側の吹き抜け天井から落ちているということが判明した。結局、家中の暖気が一番冷たい北の天井に集まり結露した。その結露水が脂を溶かし落ちてきたということだったらしいのです。
古民家のデザインは魅力的だし、日本人らしい暮らしができるということで古民家再生に憧れる人が多くなりました。この傾向は古民家再生の設計を以前から手がけている弊社にとってはとてもうれしいことです。しかし、設計を手がける者が気をつけなければならないのは、この本の著者もそうですが、家の中で繰り広げられる生活はいたって現代的だということです。
暖房や冷房をどんどん使うし、当然快適な居住性を求められる。
著者は「古民家暮らしはやっぱり、一に忍耐二に忍耐だ」と一見楽しげに語っていますが……。

せっかく古民家を再生したいと思っている人が誤解しないで欲しいのであえて申し上げますが……
実は、この古民家再生を手がけた設計士が断熱や換気についてもっと勉強していて、それなりの設計テクニックを身につけていればこの事故は防げたのです。
北側天井の結露は断熱性能不足、換気不足が原因で起こる典型的な現象です。古民家だから起きる現象ではありません。
古民家を確かな設計テクニックで再生すれば、必ず、居住性の優れた住宅に輝き蘇ります。



2008年04月14日(月)