古民家再生というと、どんな想像をしますか?――歴史を生かしたおしゃれなインテリア!
そうですよね。でも、弊社に古民家再生の設計を依頼されるお客様は、同時に安心できる耐震力も要求する場合がほとんどです。じゃあ、どうやって耐震力を補うのか?ここで、私たち設計士は大いに悩み始めます。
古民家の構造の特徴は、木材の癖、形を生かした木組みと優しい表情の土壁ですよね。ところが・・・
現在の建築基準法ではこの構造を正当に評価してくれません。とても残念なことです。でも、リフォームなら建築確認申請が必要ないので・・・「限界耐力計算法」という方法、つまり土壁の粘りや木組みを耐震力に評価する計算方法を採用することが可能です。
そうは言っても、喜んでばかりはいられませんよ。
古民家の土壁は相当老朽化していて、押すとふわふわしていたり、壁が天井裏で止まり梁に達していなかったり・・・耐震壁としては不十分な状態が多いのです。

▲土壁が梁まで達していない状態
▲写真では判りにくいのですが、貫の間隔が広く、土壁がふわふわした状態。
もし、「限界耐力計算法」を採用するのなら、現況を詳しく調査する必要があります。柱の間に貫が入っているか?どのくらいのピッチで入っているか?壁は梁と土台まで達しているか?厚さはどのくらい?・・・先ほども言ったように、リフォームは建築確認申請がいらないので野放し状態です。設計士や工務店の判断で何だってできてしまいます。だから、「限界耐力計算法」は、危険と背中合わせなのです。
土壁が信用できない場合、既設の土壁を落して新しく塗り直したり、荒壁パネルで壁を造ることもできます。

▲荒壁パネルによる補強。
ただ、工事費がかさむので、弊社のお客様でそういう選択をされた方は今のところいらっしゃいません。結局、筋交いで壁を補強することになるのですが・・・「それは古民家のよさを台無しにする方法だ!」でも、頼りない土壁を耐震壁として評価したり、土壁と筋交いを混合したり・・・中途半端な構造はとても危険です。
古民家再生はデザインだけを追いかけてはいけません。構造補強の考え方をしっかり固めてからデザインに、それが鉄則だと思います。