耐震診断や、リフォーム設計の下準備として、「現地調査」というのがあります。文字通り、実際に建物を見に行って、各部分の寸法を測ったり、傷み具合をチェックしたりしていくわけですが……古民家やお寺というのは、最近の住宅とは随分違います。部屋と部屋が、襖や障子越しに連なっていたり、大きな差鴨居が入っていたり、小屋裏には大抵、全然真っ直ぐでないクネっクネの梁が架かっていたり、床下では柱が石にドンって立っているだけだったり……と、現代住宅では見られない要素が満載です。つまり、面白いわけです!
今回は、そんな古民家やお寺を調査する様子を、ご紹介します。

ひと通り敷地全体を確認したら、まずは間取りを起こします。古民家の場合、よく田の字型といわれるように、部屋が廊下を介さずに繋がっていることが多いです。
間取りが描けると、土壁や筋交といった耐震要素の配置を、大まかに検討することが出来ます。「田の字型」プランの場合、ほとんどの部屋が建具で仕切られているため、外壁以外の部分では、耐震要素は皆無に等しいです(>_<)
ただ、完全な壁でなくても、建物が倒れないように少しでも抵抗するものに、ある程度の耐震性を評価する方法があります。例えば、垂れ壁(建具の上にある壁!)です。

そこで、間取りの次は高さを測ります。鴨居の高さ(=建具の高さ)、天井の高さ、軒の高さ、桁の高さ、階段の高さ……etc.
高さはデザインのためにも大切なので、各部分きちんと測ります。廊下の天井は、少し下がっていたりします。格の高い部屋は、天井も高いらしい。(例外もあります。)

これで、見える所は測り終えました。それでは、小屋裏を調べます。
小屋裏に上るには、ちょっと準備が要ります。


▲はしご。これを忘れた場合、3m以上のジャンプ力が必要です。でも、小屋裏への階段があることもあります。伸縮自在の便利なはしごです。

▲投光器。これを忘れた場合、猫の目を借りたい思いになります。お客様宅の電気をお借りしますm(_ _)m

▲滅多に要りませんが……小屋裏への入り口が無いときは、これで天井を開けて入ります。丁寧に開井しますのでご安心を。

他に、状況を見てマスクや軍手を装着します。ではさっそく。
小屋裏ではまず、梁の架かり方を調べます。現代住宅では四角く製材された梁の上端が揃うように組み立てられますが、古民家の場合は丸太が折り重なるように架かっています。それでも、材料同士がぴったり合うように加工されています。これはすごい。(部材が反って噛み合っていないこともあります。)
梁の次は小屋組です。束や母屋の位置等を記録していきます。いつも気になるのは、貫の楔が緩んでいたり、取れていたりすることです。貫が緩んでしまうと、小屋組が不安定になり、地震や強風で倒れてしまいます。
あとは部材の寸法と各部の高さを測っていきます。母屋の高さを測ると、屋根の傾斜を大まかに知ることが出来ます。
……小屋裏での注意点は、天井に落ちないことです(^^;)。


▲ここは断熱材が敷いてあるようです。梁を踏み外さないように……。

▲梁の継手が見えます。金物は、使われていないか、または補助程度に使われています。

今度は、床下です。古民家では、大した基礎が造られていないことが多いようです。ですが、足固めという、柱間を拘束する部材がしっかり入っていれば、それなりに丈夫だろうと考えられます。
床下は湿気で腐ったり、害虫に侵されたりしやすい部分なので、健全な状態かどうかも確認します。

これで、内部の調査は完了です。1回で終わらない場合は、数回お邪魔することもあります。

あとは、持ち帰って図面化・診断を行い、検討結果をもとに打合させていただきます!