「人・まち・いちのみや」という番組で、一宮市苅安賀にある登録文化財、森川家住宅を紹介することになり・・・
現在私は、一宮市教育委員会から文化財審議会委員に任命されているので、この家の歴史的な価値や魅力の解説することになりました。

森川家住宅は、1855年に建てられた主屋と1900年ごろに建てられた書院、そして土蔵で構成されています。
主屋は1891年の濃尾大震災に耐えた民家で、太い指し鴨居が特徴です。私も古民家再生を多く手がけていますが、この指し鴨居が入っている民家は大変狂いが少なく、補強さえすれば立派に蘇る住宅です。そのため、指し鴨居の有無を、再生できるかどうかの物差しにしています。
書院は、裏千家の残月亭を参考にした数奇屋造りの建物です。主屋とは対照的にたいへん華奢な建物です。構造強度という観点では、主屋には劣りますが繊細なデザインがいかにも魅力的です。

また、この住宅は、明治末から大正初期に活躍した茶人「如春庵」の生家としても知られています。最近、如春庵の功績が再評価され、各地で展示会が開催されています。

実は、私が若かりし頃、名古屋城の「猿面茶席」を実測調査しました。その経験は、現在の私の大きな支えになっていますが・・・この「猿面茶席」を復元したのが「如春庵」だったのです。昭和20年の空襲で消失した茶席を「文化こそ心の支えだ」と4年後に復元した、その気概。敗戦の世相を考えるにつけ、「すごい人がいたんだ」と大いに感銘を受けたものです。

まさか、その偉人の生家を私が解説することになるとは!うれしいような申し訳ないような・・・複雑な心境です。
この番組は、12月22日から28日まで、毎日5回放映されるそうです。


▲取材風景


▲書院の床の間


▲書院の茶室


▲主屋の外観


▲主屋の玄関