長期優良住宅対応!木造住宅の構造計算 〜地震や台風に負けない建物のつくり方〜


     
―長期優良住宅として認められるには?

    長期優良住宅は、最大600万円の住宅ローン減税拡大(2013年まで)などの税制優遇があり、高性能な

    家をお得に建てられる制度です。この認定を受けるためには、耐震・省エネ・バリアフリー対応などの項目

    について、一定基準を満たすことが必要です。ここでは、そのうちの耐震基準についてご紹介します。


    長期優良住宅に認められるために必要な耐震性は、「住宅性能表示制度」の評価基準をもとに決められて

    いて、以下のどれかに該当する必要があります。

    @ 等級2以上(3段階のうち)を満たす。

    A 限界耐力計算で、変形角(柱の傾き)が基準以下となることを確認する。

    B 免震構造にする。

    Aは構造計算が必要になりますし、Bはコスト等の面で制約がありますので、通常は「長期優良住宅」と

    いえば、@に該当することになります。では、「耐震等級2以上」と評価されるための条件は、どのような

    ものでしょうか。


   
―性能表示制度の評価基準とは?

   そもそも、建物の構造が安全かどうかを判断するための手法は様々あり、「建築基準法」等に詳しく定め

   られています。性能表示制度では、建築基準法の計算方法をベースに、より厳しい基準や詳細な検討を

   求められています。2階建て以下で延床面積が500u以下の木造軸組住宅では、壁量計算という簡易な

   計算で評価することができますので、その方法をご紹介します。


   
―壁量計算の方法

   壁量計算は、耐力壁の量(長さ)が、床面積や外壁の見付面積の大きさに応じて必要な壁量を

   満たすかどうかを確認する方法
です。

   まず、建築基準法の基準を満たす必要があります。次のように行っていきます。

   @ プランが決まったら、外壁や間仕切に耐力壁を配置して、存在壁量を求めます。

   耐力壁とは、筋交いや構造用合板などによって、柱と梁の直角が簡単に曲がらないように固めた壁のこと

   です。筋交い、面材、塗り壁などが耐力壁として認められていますが、それぞれ固さが異なるので、実際の

   壁の長さに「壁倍率」を掛けて計算します。1.5cm×9cmの片筋交いを入れた壁を「1.0」として、4.5cm×9cm

   の筋交いだと「2.0」倍、9cm角なら「3.0」倍という具合です。

   例えば、1.5cm×9cmの筋交い壁3mと、9cm角の筋交い壁1mは、どちらも壁量が3.0mとなり、同等に評価

   されます。

   A 床面積や外壁の見付面積の大きさに応じて、必要な壁量を求めます。

   地震力に対して必要な壁量=各階床面積 [u] ×表1の係数

   風圧力に対して必要な壁量=各階外壁見付面積 [u] ×50 [cm/u](一般地域) となります。

   各階で直角な2方向(X方向・Y方向)について計算し、地震力と風圧力で大きい方の数値を、必要壁量と

   します。風圧力の必要壁量を求めるときは、図1のように各階の床から1.35mまでを除いた部分の外壁

   見付面積で計算します。

         ▼表1▼



         ▼図1▼




     B 存在壁量>必要壁量 となることを確かめます。

     存在壁量が少ない場合には、もっと多くの耐震壁が必要です。

     C 次に、耐力壁の偏りを検討します。

     耐力壁がバランス良く配置されていないと、建物がねじれたり、一部に大きな力がかかったりして、

     きちんと機能しない可能性が高くなります。四分割法と偏心率を計算する方法があります。

     四分割法をご紹介します。建物外周部の「壁量充足率」が均等であることを確認します。

     (ア) 建物外周部(平面的に建物全体の1/4にあたる部分)の「壁量充足率」を計算します。

     図2の青い部分について、それぞれの部分で@・Aの壁量計算を行い、

     壁量充足率=存在壁量/必要壁量 を求めます。



     (イ) 各階各方向の壁率比を求めます。

     壁率比とは、右側と左側、上側と下側の壁量充足率の比です。

     壁率比=小さい側の壁量充足率/大きい側の壁量充足率

     (ウ) 壁率比「0.5」以上、または壁量充足率が両方とも「1.0」以上となることを確認します。

      「壁率比0.5以上」等が確認できないときは、もっとバランス良く耐力壁を配置しなくてはいけません。

     以上が壁量計算の方法でした。これを満たすと、建築基準法のひとつがクリアできます。


    
―長期優良住宅に必要な「等級2以上」のための壁量計算

    長期優良住宅に認めてもらうためには、「等級2以上」が必要でした。

    「等級2」は、建築基準法に適合した上で、もっと詳細な壁量計算を行います。

    計算方法は建築基準法の場合と同じですが、次の点が異なります。

    ● 存在壁量に準耐力壁等を含める

    ● 必要壁量を表2・表3により求める


        ▼表2▼


        ▼表3▼



     準耐力壁等というのは、内装に使う石膏ボードが釘打ちされた壁などのことで、筋交いや構造用合板

     のない部分でも、耐力に含めることができます。また、地震に対する必要壁量の基準は建築基準法より

     も多くなり、上下階の床面積比による割増・割引を考慮しています。

     総2階よりも、一部2階建ての方が、2階部分に必要な壁量が多くなります。また、風圧力に対する

     必要壁量は、各地域の基準風速によって、細かく設定されています。もちろん、建築基準法より厳しい

     数値になります。

     例えば、一宮市の基準風速は34 [m/s] なので、必要壁量は67 [cm/u] を掛けて計算します。

    配置のバランスについても、建築基準法と同様に四分割法による判定が必要です。


    
―長期優良住宅に必要な、もうひとつの重要な計算

    ここまでの壁量計算をすべてクリアしたなら、「長期優良住宅」に一歩近づきました。

    
しかし、「等級2」をクリアするためには、もうひとつ大切な項目があります。

     耐力壁の配置にも関わる重要な計算をしなくてはならないのですが……

     それについては次週、ご紹介します!



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