2009年を振り返る (愛知県稲沢市 長福寺金堂)


菅野良司

孕石順昭

東松泰志

野村建太

長井真美

武田亜紀子
 
小栗未麻
 
谷本太一
 
池田大樹

倉本真衣
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このフリートーキングの前に、2009年で印象に残った建物は何ですか?というアンケートをスタッフ全員に

   配って、コメントを書いてもらいました。

   その結果、愛知県稲沢市の長福寺金堂にも多くのコメントが寄せられました。


北側外観

南側外観


   
「次は長福寺金堂の話をしましょう。この仕事は、大変ユニークな住職との出会いから始まったんですが・・・

     以前弊社の設計で完成した名古屋市中村区の光明寺伽藍を大変気に入ってくださっていて、自分が造る

     のなら菅野企画設計に頼みたいと心に決めていらっしゃった。それで、確か5年か6年前に一度お寺に

     呼ばれてお話をしています。あれからずっと構想を温めて・・・今回やっと実現した。自分のイメージを伝え

     るために、私と東松君を高野山の奥の院まで連れて行ってくれたり・・・大変熱心でやりたい事がはっきり

     している住職だったと思います。担当した東松君、少し説明してください」

   
「はい。今回長福寺さんでは、大日如来がお座りになる金堂と客殿が一体になった建物を造らせてもらい

     ましたが・・・住職さんからの要望が盛りだくさんで、自動車の祈祷所とか水子供養堂、最上階の3階には

     納骨堂を造りたい、こんな感じに造りたいとイメージを色々おっしゃって・・・高野山奥の院の灯籠堂ですか?

     にも連れて行ってもらいました。金堂の中には大きな大日如来を正面に祀って、天井の格子には灯籠を

     たくさん吊り下げて・・・幽玄な感じにしたいと」

   

高野山奥の院の灯籠

   
「この建物に対しては、若いスタッフが特にたくさんコメントを書いてしてくれましたが・・・池田君」

   
「完成してから見せてもらったんですけど。お寺に近づくとお城のような建物が目の前に現れたので驚いた

     んですが・・・実は、うちが造ったのはその奥の建物で(笑)。建物の中へ入ってから、円形の部屋を通って

     金堂へ・・・というシナリオは住職さんが考えたんですか?」

   
「あれはうちの提案だよ。“宇宙を表現した前室を造りましょう”“それは面白い”と」


宇宙を表現した前室

   
「あの空間で精神統一して金堂へというアプローチは、とてもユニークですけど・・・ある意味分かりやすい

     かなと。そういうところが面白いと感じました」

   
「谷本君は?」

   
「外観がすごくユニークで・・・北側から見ると、3階建ての上に塔がそびえ立っているんですけど、南側

     からは平屋の建物に見える。見る方向によって表情が違うのは面白いと思いました。設計中に金堂の

     インテリアパースを何回も作ったんですが、実際はどんな感じになるんだろうと。完成した姿を見たら・・・

     本当にあの大日如来が塔の上から入る光を浴びてそびえ立っている!部屋の間仕切りも朱色で・・・

     すごく印象的でした。行事に合わせて、間仕切りで使い分けるというのも利便性が高いと思いました」

   

金堂インテリアパース

行事に合わせて間仕切りで部屋が仕切れます。

   
「私は、RC造(鉄筋コンクリート造)のお寺を見るのが初めてで・・・木造とはイメージががらっと変わって、

     とても印象的でした。お伺いした時住職さんがおみえになって、色々説明をしてくださったんですが・・・

     これをしたかったあれをしたかった、そんな思いをお聞きできたのはよかったと思います。お寺というと、

     一般的には大きな瓦屋根というイメージだと思うんですが・・・ここを訪れる人たちがどんな印象を持つ

     んだろうと気になるので、人が集まっている時にもまた来てみたいなと思いました」

   
「武田君は?」

   
「この建物は私も設計に参加させてもらいました」

   
「断面図からだったよね?」

   
「そうですね、最初に大きな断面図を描いて・・・“丸い吹き抜けの中に宇宙を造るんだ”と菅野さんに

     言われて驚きました(笑)。その時は絵なので・・・それなりに描いたんですけど、一体これをどういう風に

     設計すればいいのかと悩みました。それから一つ一つの部屋にそれぞれテーマがあったし、吹き抜け

     には天女、客殿の床の間にはこの仏像、玄関先にはこの仏像を置きたいと、色々な要望があったので・・・

     照明のあて方を工夫したり、そこにスポットが当たるようなデザインをしたり・・・なかなか難しかった。

     でも、とても面白かったなあと(笑)。宇宙を表現した吹き抜けに入る手前に不動明王を祀ったんですが、

     玄関ホールとの間に結界を表す門をドーンと造って、明王を怖い感じで照らす。その横の引き戸を開いて

     暗い無の世界というか、宇宙に入ると、すっとした気持ちになって・・・その後ドーンと金堂が出てくる!

     そういうイメージを持って図面を描いていたので・・・創造通りできてきた時はすごく嬉しかったです」


断面図

宇宙を表現した前室のイメージ図

   
「私は完成してから行きました。工事中の話を聞いたり、設計途中のパースを見て、変わった建物が

     建つんだなあという印象を持っていましたが、やはり円形で壁が黒く塗られた吹き抜け空間が印象深くて、

     想像以上に良かったです。それと、金堂の大日如来ですか?あの白木の仏像がすごく印象的でした」

   
「韓国の人間国宝の仏師が作ったと住職からお聞きしましたよ」

   
「金堂へ入っていく扉のガラスに挟み込んだ和紙はフィリピン製で・・・国際的だよね(笑)。長福寺金堂は、

     コンセプトがはっきりしているというか・・・ここはこうしたい、ああしたい、こういう雰囲気を出したいと、

     演出的なデザインができた建物ですよね。それにしても、住職さんが大変気に入ってくださって、観光

     ツアーばり(笑)の説明をしてくださっているのはうれしいね」


金堂入口の扉

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