虎渓山 永保寺再建庫裡


2006年2月7日


旧庫裡の南妻壁はすばらしい彫物が随所に施して

ありました。

虹梁(こうりょう)、海老虹梁、木鼻、肘木etc、

それは旧庫裡を建てた曽我棟梁好みで統一されて

いたわけですが・・・。

今回木工事を担当するのは八野棟梁。

せっかく現代の名工を使うのですから、彼の好みを

取り入れるべきではないか?

そう考えて八野さんなりの彫物の原寸描いてもらいました。






しかし、

「うーん。ちょっと気に入らないなあ。線が優しすぎる。永保寺の庫裡にはもっと

力強さがなくては!!」と菅野。

彫刻のデザインは八野棟梁と菅野の合作を描いてみることにしました。

2月9日

現場事務所で彫物のデザインの最終確認をしました。

「じゃあこの原寸図をもとに描き直します。」

と快く了解してくれた八野棟梁。


2月14日

144帖の新書院に妻壁の原寸図を敷き、住職、山内寺院、

事務局の皆様に見ていただきました。

大変大きな図なので、当日は櫓を組みその上から全体が

見えるようにしてもらいました。



八野棟梁と菅野が合作した彫刻のデザインも皆様に

気に入っていただき、

「これで本格的に刻みに入れます。」と棟梁。

「大変でしょうがよろしくお願いします」萬仭軒老大師。





2月23日


基礎を造るため、根切(掘削)を行いました。

以前、施工した柱状地盤改良の頭が姿を現しました。

この杭の上に基礎を載せます。

基礎は鉄筋コンクリートで造る予定ですが・・・・。

鉄筋コンクリートの寿命はどのくらいあるのでしょう?

鉄筋を錆びさせる塩素を含まない川砂利を使ったとしても通常のコンクリートでは

約60年で鉄筋が錆び始め、膨張する力でコンクリートが割れ始める。

コンクリートは空気に触れている表面から徐々に中性化していきますが、

その速さは0.5mm/年。

コンクリートの表面と、その中に配筋された鉄筋の最短距離は30mmなので、

30/0.5=60年というわけです。

つまり一番大切な基礎の寿命が最も短い!ということになります。

じゃあ、コンクリート表面と鉄筋の距離を大きくすればいい?

そんなことをすると、コンクリートが収縮して自分で割れてしまい逆効果です。

コンクリートの中性化を防ぐ最も良い方法は、コンクリートに混ぜる水を少なくすることです。

しかし、水が少ないコンクリートはボソボソなのでポンプ車による打設が困難です。

そこで流動化剤と呼ばれる混和剤をコンクリートに混ぜて流れやすくします。

今回は電気化学工業(株)に協力を要請し、500年以上劣化しないコンクリートを

提案してもらいました。

実は、このコンクリートは超高強度コンクリートと呼ばれ超高層ビルなどにはよく

使われています。

ただ、長寿命だというよりは強度が高いという特性が採用の主な理由ですが・・・。

3月9日

木の刻みがどんどん進んでくると八野棟梁、弟子の池田さんから、次から次へと質問が

寄せられています。話はミリ単位のことばかりですが・・・。

「設計士さんがどういうことを考えて絵を描いたのか知りたいんですよ。そうしないとワシら

仕事ができんので!」

そういう言葉にも、この仕事に対する彼らの熱意を感じとても充実した気持ちになります。



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