虎渓山 永保寺再建本堂
 
2010年9月


永保寺棟瓦

消失前の本堂に倣い、設計では銅板葺きの棟で計画して

いましたが、本山の方丈に倣って瓦で葺くことに急遽変更

しました。鬼瓦が原寸図よりも大きく製作されてしまったりと

途中想定外のトラブルもありましたが、何とか棟に鬼瓦が

設置されました。 板金の鬼も良いのですが、やはり瓦なり

の重厚感は良いものだなと思います。



棟瓦
 
9月


天井板が無事貼り終わりました。

永保寺では部屋毎に天井板の種類を分けています。

日本建築の竿縁天井の場合、天井板として良く使われるの

が杉です。 (余談ですが、杉は馴染み深い材料ですが構造

材としては安価な材料です。もちろん桧よりも安い材料です。

しかし、産地によっては大変すばらしい杢目がとれることもあり、

最も高くて最も安い材料とも言えます。そのため木材が好き

な人に好きな木の種類は何ですか?と聞くと、杉と返ってくる

事があります。ピンからキリまであって面白い素材だからです

ね。) 杉は杢目の差によって価値が判れるのですが、格の高

い部屋となる“上間の間”では秋田杉の柾目板を使いました。

それも幅が尺5寸もあるとんでもない材料です。岐阜にある

河合銘木さんが、「他に使うところが無いから永保寺でつかって

ください」との心意気で、高価な柾目板を供出してくれました。

脇間には霧島杉の笹杢。どれもこれも素晴らしい杢目です。

きっとお寺の自慢所になることでしょう。


天井









天井柾目


11月


浜縁の造作工事が始まりました。

浜縁が取り付くと本格的に禅宗のお寺らしくなってきます。

八野大工さんとしても最後の木工事になります。

あとは手直しで来るくらいでしょう。八野棟梁の息子さんである

泰明さんが浜縁の造作をしてくれています。

浜縁の板は桧材ですが節のまったく無い、本当に綺麗な材料

で出来の良いバームクーヘンのような仕上がりです。

(ちなみに、バームクーヘンとはドイツ語で“木のお菓子”という

意味です。と、ドイツ語の授業で習いました。)

八野泰明
 
2011年1月


木製建具が立て込まれました。大変な数あるので建て込む

だけでも大変な作業です。 岐阜県白鳥にある大島木工さん

が本堂の建具を担当しています。秋に建具製作過程を確認

させていただいたのですが、とても手の込んだ仕事をしてい

ただけます。

詳しくはこちらへ


建具が入ると様相は様変わり。特に、日本建築は壁面のほと

んどが建具に囲まれているため、建具が入っているか入って

いないかでは印象がまったく違います。 桧で作られた建具は

とても美しく、舞良戸と呼ばれる横桟が入った建具も一級品

です。 やはり無垢の建具はいいですね。 最近は国産で質の

良い材料を使う機会が少ないので、新規の建具でここまで素

晴らしい材料に巡り合えることはめったにありません。 木を吟

味し、適材適所で最高の方法で活用する技術は、日本が培っ

た大切な文化です。 こういう文化が寺院のような宗教建築だけ

ではなく、昔のように一般住宅でも生かされることを願います。


建具立て込み


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