家づくりのノウハウ/フリートーキング

テーマ 「リフォーム」

参加者紹介

菅野良司
高い設計力、気さくなスタッフ育てています。
長井真美
家族のたくさんの「想い」に応えたい。
田中有紀子
よりお客様に満足していただける設計を。
武田亜紀子
「こんな家にしたい!」思いを聞かせて下さい。
小栗未麻
こだわりと工夫がいっぱいの家づくりを。

『リフォーム』その1

◆必ず現地へ足を運んで調査をし、図面化◆

菅野(以下
「今回のテーマはリフォームです。リフォームの相談を受けた場合、菅野企画設計では必ず現地調査を行いますが、特に気をつけて調査するところはどこですか?教えてください」
長井(以下
「先ず、構造が健全であるかどうかを確認します。例えば、現在リフォーム設計中のK邸では、外壁がモルタル塗りなのでクラック(ひび)がはいっていないか?※1とか、基礎があれば、基礎にクラックはないか?※2柱や床が傾いたりしていないか?・・・それから、天井や壁に雨漏りの跡はないか?サッシ廻りが結露していないか?とか、そういったところもよく見ますね。」
田中(以下
「長井さんが今言ったことの他には・・・そうですね、お客様が気にしているところは重点的に見ます。一宮市のNさん※03は断熱性能をアップしたいということだったので、床、壁、天井の断熱がどうなっているか?壁の中や天井裏、床下も調査しました」
「壁の調査の時は、大工さんを呼んで穴を開けてもらった」
「それから、設計図が残っていても現況と違っていることもよくあるので、確認するようにしています」
「なるほど」
小栗(以下
「現在リフォーム設計中のK邸では、以前、白蟻が湧いたことがあるというお話があったので・・・畳を上げて、床下を調査し、土台の状態を確認しました。」
武田(以下
「古民家再生をする場合は、建物の構造がよく見える状態なので、柱や梁・・・構造を丁寧に調査します。位置を変えることができる梁なのか?抜いても大丈夫な柱なのか?間取りを変えたいと希望された場合にはとても大切なことなので・・・」
「菅野企画設計では、例え設計図が残っていても、必ず現地へ足を運んで調査をし、図面化しています。それから、建物が傾いていないか?傾きがひどい時は、柱の傾きをチェックしてデータ化することもあります。それから壁の位置ですね。構造的に有効な壁はどこにあるのか?筋交いは入っているのか?現地で調べられることはできるだけチェックするようにしています」

◆高度成長時代に建った家は寿命が短い◆

「お客様にとっては失礼な話かもしれませんが・・・この家をリフォームするのは、ちょっと??と思ったことはありませんか?以前一宮市で、リフォームの相談を受けてお宅に伺ったんだけど・・・お客様と話をしているうちに、これは大規模な工事になりそうだと思った。はたして、お客様はそんな工事金額を予想しているかなあと不安になって・・・多分、リフォームにこのぐらいの金額がかかりますが、よろしいですか?と問いかけてみたら・・・そんなにかかるんですか!?と驚かれてねえ。」
「建物がひどく傾いていたりしている場合は、いっそ新築した方が安くできるんじゃないかと思うこともありますが・・・」
「お客様がリフォームしてくれとおっしゃるから、というだけで話を進めるのは、かえって不親切なんじゃないかと思うことがある。コストの問題やリフォーム後の耐用年数も考えてアドバイスするべきじゃないかなあ。・・・武田君が担当した古民家再生のK邸※4だけど・・・あの家に始めて行った時、僕は大変ショックを受けた。(笑)家が相当傾いていたし、土壁も崩れていたでしょ。本当にこの家をリフォームするの?と正直思ったよ。武田君はどうだった?」
「お客様があの家を残したいと強く願っていたし、古材がすごくいい味を出していたので・・・」
「そうだね。最初は僕も驚いたけど、家の中を見せてもらったら・・・差鴨居がしっかり入っていた。この家は木材の接合部に手間がかかっているから必ず再生できると思った」
I邸※5は、ひとつの家の中に築80以上経ったところと昭和40年くらいに増改築したところがあったんですよ。ところが、おじいさんが建てた築80年以上のところが未だしっかりしていて、お父さんが増改築した部分がボロボロになっていました」
「築70年、80年経っている家の方が残す価値が高い場合が多いという気がする。情けない話なんだけど、高度成長時代に造った家は構造もやわだし材料も悪い。そういう意味で寿命が短い家が多いよね」
※1モルタル外壁のクラック(ひび割れ)
モルタル外壁のクラックは、外壁のあらゆる箇所に生じることがあります。 とくに地盤沈下によりコンクリート基礎にクラックが入り、やがて外壁に達する場合や外壁開放箇所の窓、ガラリの四隅に生じることがあります。
※2
▲基礎や地盤の傾きを調べたり、基礎の裏側までクラックが入っていないか確かめます。
※3 一宮市のN邸
▲床、壁、天井の断熱がどうなっているか?壁の中や天井裏、床下も調査しました。
※4 K邸
再生前は外壁の板が剥がれ落ち、土壁は崩れて隙間だらけ、建物は傾いていました。
※5 I邸
昭和初年に、大工さんだったおじいさんが建てた家の一部を昭和30年頃にお父さんが改築しました。

『リフォーム』その2

◆基礎は何で必要なの?◆

「木造住宅を耐震する方法を教えてください」
「古民家再生をしたK邸は、築80年のお宅で・・・一応基礎らしきものはあったんですけど、鉄筋は入っていないし、土台もすごく細くて・・・ところどころ腐っているような状態でした。それで、建物をジャッキアップ※6して、きちんとした鉄筋を入れたベタ基礎を造って、新しい桧の土台の上に下ろしました」
岐阜市のM邸※7は、昭和46年に住宅金融公庫仕様で建てているんですけど・・・平屋建て部分はI型のただまっすぐな壁状の基礎で、2階建て部分はT型の布基礎になっていました。ただ、鉄筋が入っていなくて・・・今回の改修では、耐力壁が乗るところと外周廻りは、鉄筋コンクリート造の基礎を既設基礎の横に接続して造る形で補強しました。」
「土台は新しい鉄筋コンクリート造基礎の上に変えたんですか?」
「いいえ。既設のままです」
「じゃあ、新しい基礎を外から横にくっつけたということですか?」
「はい。横に添わせたという感じです」
「現在工事中のH邸は築40年くらいです。鉄筋が入っている基礎なんですけど・・・白蟻駆除をするために作業員が床下へ入る時に、勝手に基礎を破壊して入口を作ってしまったらしいです。(笑)」
全員
「それはひどい!」
「ということがありまして、鉄筋がむき出しの状態で放置されています。今回は床を全部貼り変えるので、床を除去した時に、鉄筋とコンクリートで基礎を補修することになっています。耐力壁が増えるところには基礎も新たに造ります」
「ここで、ちょっと勉強です。単純な疑問として、基礎は何で必要なの?わざわざジャキアップしてまで基礎を造る理由は?・・・基礎の役割は第一に、建物の重さを地盤に伝えることです。ということは、基礎の底で地盤に重さを伝える訳ですから、底の面積が広いほど建物の重さを均一に分散できるよね。ただ、厄介なのは、地盤の固さが均一じゃないこと。昔の家の柱は石の上に乗っているだけだから、柔らかい地盤の上だと沈下してしまう。これが不同沈下と呼ばれる現象で、家が部分的に傾いて、建具の建てつけがわるくなったりする。それから、地下に水分を多く含んだ砂質の地層がある場合、大きな地震で液状化を起こす危険があります。液状化を起こすと、地表の所々が陥没するので、そんな所に立っていた柱はひとたまりもない。簡単に家が傾いたり、倒壊してしまうという訳です。だから、できるだけ底の広い基礎を造ることが必要です。べた基礎というのは、床下全体を基礎にしてしまうわけですから、不同沈下を防ぐという意味では、究極の基礎だともいえます。もちろん、杭を打つ方法にはかないませんが・・・もう1つ、基礎の大きな役割は、柱の足元を固定するということです。地震や台風の時、建物は横から大きな力を受けます。ということは、建物を倒そうとする力が働く訳だから・・・柱は持ち上げられますよね。その時、柱が石の上に載っているだけだっら・・・簡単に持ち上げられてしまいます。その結果、建物は倒壊する。だから、柱の上に土台を固定して、その土台の柱を固定したり、柱を直接土台から金物で引っ張ってやる。こうしておけば、柱は浮き上がらないでしょ。これが基礎の必要な理由です。わかりましたか?」
※6 ジャッキアップ
■既存の土台から上部構造(建物本体)をジャッキで持ち上げ、基礎と建物本体との間に「免震用架台」と「免震装置」を設置する降雨帆のこと。基礎は、免震装置が設置される部分に礎柱を設け、必要に応じて補強することになる。
※7 岐阜市のM邸
耐力壁が乗るところと外周廻りは、鉄筋コンクリート造の基礎を既設基礎の横に接続して造る形で補強しました。
◆布基礎-建築物を支える逆T型をした基礎の一種で、もっとも一般的な基礎。
◆ベタ基礎-建物を支える下部構造で、建物の底部のコンクリートがすき間がなく連続し、基礎の底部が一枚の板状になっている基礎。
◆杭基礎-主に軟弱な地盤における構造物の建設において、浅い基礎では構造物を支えることができない地盤の場合に、深く杭を打ち込み、構造物を支える基礎。

『リフォーム』その3

◆壁の耐震補強の方法◆

「壁の耐震補強の方法を教えて下さい」
「名古屋市のS邸とか岐阜市のM邸では、壁の位置のバランスが悪かったので、配置が良くなるように・・・筋交い※8を入れたり、構造用合板を貼った耐力壁を造りました。それから、金物※9で補強していない家がほとんどなので、金物を取り付けて補強するということをしています。」
「小牧市のO邸は筋交いの入った家だったので、今ある筋交いを利用しつつ追加で筋交いを入れて・・・金物で補強するという方法にしました。今工事中のH邸の場合は土壁の家なので・・・土壁は残したまま、外から構造用合板※10を貼って補強する方法をとります」
「東海市のK邸は土壁の家だったんですけど、構造計算をきちんとして、筋交いが必要なところの土壁は除去して、筋交いを入れるという補強方法をとりました。それから岐阜市のY邸は、壁に筋交いは入っていたんですけど、バランスが悪かったんです。ただ、お客様が家の中からは工事をして欲しくないということだったので、外側から合板を貼って補強する方法をとりました。」

◆壁をたくさん増やしても、かえって強度が低くなることがある◆

「壁のバランスが悪いという話がでたんですけど・・・そもそもバランスが悪いというのはどういうことなの?」
「耐力壁の配置が悪いということですね。壁が偏っていると、揺れ方が違ってしまう。要するに、壁の少ないところは大きく揺れるので、倒壊の危険性があるということです」
「窓ばかりの家は問題だということですよね」
「そうそう、特に昔の家って・・・南側には壁が全くないのに、北側は壁ばっかりというふうで。南と北の壁のバランスが悪い家、多いですねえ」
「東と西でも同じようなことがありますよね。西側はあまり窓をつけたくないから壁ばかりで、東側にはわりとたくさん窓があったりとか。そういう意味でバランスが悪いと」
「だから・・・設計上は、北側と西側には必要以上に壁を設けないというテクニックもある。南側や東側の壁とのバランスを配慮した方が安全だと・・・むやみに壁をたくさん設けるのも考え物だよね」
構造計算ソフトのホームズ君※11で検討すると・・・壁を増やすと、かえって強度が低く出ることがあります」
「それから・・・筋交いを入れるにしても、筋交いの方向ってあるじゃないですか。斜め方向をどっち側に入れていくのか、というも検討する必要がある」

◆建築基準法では、構造強度を壁量で決めています◆

「南側はどうしても、壁にできるところが限られてくるので・・・特にリフォームでは、ひとつの壁倍率を上げすぎると、そこに力が集中して、ホールダウン金物※12が必要になって、既設の基礎にアンカーを打って※13・・・みたいな難しい話になってくるので、それもできればあまりやりたくない」
「今、田中君が言った“ホールダウン金物が必要になる”という話を少し詳しく説明します・・・地震や台風の時、ひとつの壁に力が集中する構造になっていると、壁が固定されている柱を引っこ抜こうとする大きな力が働く。そのために、柱は土台と接続するだけでは足りなくて、コンクリートの基礎と緊結して抜けないようにする必要が出てくるわけだね。だから、各壁にバランスよく力がかかるようにすることが非常に大切です・・・さっき田中君が壁倍率という言葉を使ったでしょ?この言葉は建築基準法で使われている用語ですよね・・・例えば、土壁※14の壁倍率はいくつですか?」
「一般的には0.5倍です」
「最近、法の改正があったので、壁の厚みによって0.5から1倍です」
「壁倍率というのは、どういう数字かというと・・・例えば1階の場合、土台から2階梁までの幅1mの壁はどのくらいの強度があるのか?それを計算する係数を壁倍率と呼びます。幅9cm×厚3cmの筋交いは?」
全員
「1.5倍ですね」
「たすきがけにすると3倍になる。構造用合板を貼ると?」
「2.5倍です」
「そういうふうに、補強の仕方で係数に差が出てくるわけだね。それぞれの壁の長さにこの壁倍率をかけて算出された数量を壁量と呼びますが、建築基準法では、一般的な木造住宅が満たすべき耐震強度、耐風強度が、この壁量で決められています。壁量は、1階のX方向とY方向、2階のX方向とY方向、全てで満たさなければいけません」
※8 筋交い
柱と柱の間に斜めに渡す補強材のこと。軸軸組構造で、台風や地震などの横から建物にかかる力に耐え、軸組の変形を防ぐために対角線方向に入れる部材。
※9 筋交い金物
水平力に抵抗するための補強材である筋交いの接合部に取り付けられる接合金物のこと。
※10 構造用合板
合板のうち、構造耐力上主要な部分に用いる目的で作られたものをいう。構造用合板は、主に木造建築物の、壁下地材・床下地材・屋根下地材として用いられる。
※11 構造計算ソフトのホームズ君
・住宅性能表示制度の【構造の安定】の等級判定・4号建築物の確認申請における、基準法の仕様規定のチェックなどが行える。
※12 ホールダウン金物
地震の時に土台から柱が抜けるのを防ぐために設ける金物のこと。建物の隅角部に設置することにより性能が高まる。
※13 既設の基礎にアンカーを打つ
※14 土壁
土を主材料とし、左官工事によってつくられる壁の総称。通常は小舞(こまい)を下地とする。土は地球上至る所に存在し、もっとも入手しやすい材料であるから、世界各地で古くから使用され、日本でも法隆寺壁画下地壁にすでに優れた土壁が用いられており、いわゆる和風建築(とくに真壁(しんかべ)造)の壁としてもっとも普遍的なものである。

『リフォーム』その4

◆筋交いは硬くて、土壁は柔らかい構造◆

「木造の補強金物についてはどう思いますか?日本人は金物についてあまりいい感じを持っていない人が多いですよね?」
「古民家だと、継手とか仕口も結構複雑な仕事がしてありますけど、最近の木造住宅は工場で機械加工しているので・・・筋交いも以前のように釘でとめてあるだけだと、地震が来たときに外れる危険性もあります。だから、金物で補強※15するというのは住宅を地震に対して強く方法だと思います」
「リフォームした家が土壁で、その壁を耐震壁として構造計算したことはありますか?」
「岐阜県のH邸は土壁でしたが・・・厚みが分からないので壁倍率0.5倍で計算しました」
「土壁が耐震壁強度として評価できるのは、梁から梁まで壁になっている必要があるよね」
「はい。だから、計算に入れたのは外壁だけですね。間仕切り壁もあったんですけど・・・天井裏を見たら梁まで達していなかったので計算に入れませんでした」
「なるほど。土壁の家は、地震の時ゆっくり揺れる特性があって、大きく変形するんだけど壊れにくい。しかし、筋交いに比べると耐えられる力が小さいから、壁の量を多くする必要がある。逆に、筋交いで補強した家は、限界以上の大きな力を受けるとガタンと壊れるけど、土壁の家は粘り強い。筋交いは硬くて、土壁は柔らかい構造だといえる。だから、最近造られている家は、柔軟性のある家っていうよりは硬い家を造っているということになる。・・・土壁のように柔軟で壊れにくい、そんな家も魅力的だと思う」
「間仕切り壁に筋交いを入れる必要が生じた時・・・壁にしてしまうとあまりにも閉鎖的だなあと思う時は、筋交いをインテリアにしてしまう※16こともあります」
「そういえば、先日リフォームの相談を受けたお客様から質問されたんだけど・・・こんな柱に筋交いを入れても大丈夫ですか?」
「古い柱に?」
「柱がずいぶん古くなっている場合があるでしょう?土壁に埋まっていた柱とか。どうしていますか?」
「白蟻の被害や腐っていなければ、木の強度が落ちるということはないと思っていますけど」
「ということは、調査をしたり解体をした時に、白蟻に食われていたり腐っていることがわかった木材は替えるということだね?」
「そうですね」

◆木造住宅の2階床の剛性はとても大切◆

「それでは、2階の床について。木造住宅の2階床の剛性はとても大切です。剛性が小さいと、地震の時、ねじれてフニャと倒れてしまう。2階床の補強方法はどのようにしていますか?」
「現在工事中の岐阜県のF邸は古民家で、踏天(ふみてん)※17なんですけど・・・」
「2階の床がそのまま1階の天井になっているということですよね?」
「はい。現状のままでは剛性が低いので、踏天の上に梁を渡し構造用合板を張ります※18
「何ミリの合板?」
「24㎜です」
「菅野企画設計では、新築住宅でも同様の方法で補強しています。建築基準法の耐震強度が1.0だとすると、1.25を標準でとるようにしていますよね」
「そうです。壁だけを強くしても床がねじれてしまっては1.25倍の強度にならないですから・・・」
「今ままでの一般的な木造住宅は、梁の上に根太を釘で打ちつけ、コンパネを捨て張りした上にフローリングを張って仕上げるんですが・・・この方法では、地震で大きな横力がかかった時、根太ごとねじれてしまう・・・そこで、より剛性を高めるために根太をなくして、厚い合板を梁に直接張り付けるという方法を採用しています」

◆屋根を軽くすることが耐震性を高める◆

「屋根についてはどうですか?」
「古い家は、屋根が重い場合が多いので・・・屋根を軽量化させるのが、耐震性アップにもなります。瀬戸市のI邸では、土で葺いていた瓦を全部下ろして、引っ掛け桟瓦葺きに変えましたし、名古屋市のS邸や岐阜市のS邸では、土葺きの瓦屋根から金属屋根に葺き替えて軽量化※19しました。」
「東海市のK邸も土で葺いてあった瓦を全部下ろしてしまって、乾式工法で葺き替えました」
「地震の時は、建物の重さに比例した横力がかかる。慣性の法則ってやつだよね。だから、建物を軽くすれば地震時に受ける横力が小さくなる」
「土葺きを乾式にすると、屋根の重さはどのくらい軽くなるんでしょうね?」
「約半分になる。屋根を軽くすることが耐震性を高める方法だということは、一般の人もわかってきたみたいだ。それから最近では、屋根瓦を一枚一枚ビスでとめるようになった。これで、地震の時も瓦がずれ落ちるという問題が解決する。・・・阪神大震災の後、現地に行ったら、土葺きの日本瓦※20は屋根から落下していて、とても危険だと思った。その点、洋瓦※21は当時からビス留めだったので、ほとんどずれていなかった」
※15 既設土壁を残して金物で補強した例

―土壁の特徴
補強効果を発揮するためにある程度の変形を要する柔な構造であること。柔軟な構造であるため、従来の擁壁では杭基礎を必要とした比較的軟弱な地盤においても、直接基礎を適用することが可能である。耐震性に優れる。 などがある。

※16 筋交をインテリアに活かした例
※17 踏天の古民家
■踏天-1階の天井と2階の床が一体になっているもの。
※18 構造用合板を張った床
※19 土で葺いてあった瓦を全部下ろして乾式工法に葺き替え
※20 和瓦
■和瓦-日本の伝統的形式の瓦、つまり本瓦と桟瓦をあらわす。
※21 洋瓦
■洋瓦-西洋風の形の焼き瓦。断面が数字5の形を呈するスペイン瓦など。

『リフォーム』その5

◆多少壊れても崩壊しない、というのも結構有効な耐震補強 ◆

「リフォームでは地盤の補強ができませんよね。大丈夫だろうかと心配される方がみえるんですけど、どう考えればいいですか?」
「杭や地盤改良をするためには、まず建物を曳き家する必要があります。今工事中の岐阜市のF邸でも検討したのですが・・・すごい工事費がかかるということがわかって・・・」
曳き家(家の移動)※22をするためには、移動先まで地面を整地して、移動したら建物が雨ざらしにならないようにシートで覆う必要がある。そのためには作業用の足場をかける・・・そんな目にみえないお金が随分かかることがわかったということだよね」
「はい。それでべた基礎を採用しました」
「不同沈下が起きないように・・・ですか?」
布基礎※24は部分的な基礎ですが、べた基礎※23は建物の重さを床下全体に伝えるので・・・沈みにくい」
「均等に荷重がかかるから不同沈下しにくいということだね」
「そうです」
「でも、今回はリフォームだから・・・今まで家が建っていたということだよね。ということは、建物の重さで、今後、不同沈下を起こすことはまずないと思うんですよ。一番心配なのは、地震の時に液状化現象が起きて、建物が傾いたり倒壊することでしょう。・・・ところが、F邸の地盤は液状化を起こす危険性があった」
「地質調査の結果では、液状化を起こす可能性がある地層は大変薄く浅いということがわかりました。だから、孕石(菅野企画設計の構造担当者)さんと相談して、液状化で陥没しても小規模だろうという判断をしました。最近では、小規模の不同沈下なら傾きを直す方法があるので、べた基礎でいいだろうと」
「地震の時に液状化を起こす地層は、水分をたくさん含んだ砂質のところですよね。地震で加速度が加わった時に、水と砂が違う動き方をして隙間があいて、ストンと陥没するのが液状化現象の恐いところだよね。ただ、F邸の敷地の地盤は、その陥没の程度が小さいだろうと判断したわけだ」
「現在、リフォーム設計中の愛西市のK邸は布基礎です。正直、あまりいい地盤ではないんですが・・・でも、リフォームにかけられるお金のことを考えると、F邸のようにベタ基礎を採用できる物件も少ないと思います」
「そうだね。先ほども話題になったけど、地盤強度を気にし始めると莫大なお金がかかって、非現実的な話になってしまう。だから、地盤がよくなければ壁を補強して、より強度の高い建物にする、という方法論のほうが現実的だと思う」
「お客様には、リフォームだから新築と同じようにはできない、どうしても限界があるということを理解してもらうべきでしょうね。私自身も、構造計算を新築と同じようにして補強工事をすれば、新築と同じ安全性を確保できたような気になってしまいますが、地盤の補強などできないところもあるんだから・・・その辺はお客さんにも分かっていただいた上で、設計を進めることが大切かなと思います」
「そうだね。ただ、役所も私たち建築士も、最大限の地震がそこに起きるという想定で話をして、必要以上に危機感を煽っているようなところがある。・・・阪神淡路大震災でも、大きな被害を受けた地域から電車でほんの10分も走ると、全く別世界が広がっている状態だった。どのエリアでどれだけの地震が起きるのか?実際のところは誰にもわからない。最大限のことを考えて完璧にやらなければ、なんて考えたって限界がある。多少壊れても崩壊しない、というのも結構有効な耐震補強の考え方だと僕は思っています」
※22 曳き家(家の移動)
■曳き家工事-住宅などの建物を重量物等を移動する工事のことをいいます。土地区画整理などで建物を移動する場合や、陽当たり改善のため建物の向きを変えたり、敷地有効利用のために建物を持ち上げ、その下に駐車場をつくったりする際に行う工事です。
※23 ベタ基礎
※24 布基礎

―不同沈下
構造物の基礎地盤の沈下に伴い、構造物の各部で不均一な沈下を生じる現象。不等沈下ともいう。一般に沈下が全体的に一様であれば構造物に破壊や変状を生じることは少ないが、不同沈下すると傾斜したり変形して亀裂(きれつ)を生じやすい。軟弱地盤上に構造物をつくる場合には、基礎地盤の圧密沈下に伴う不同沈下を十分考慮しておく必要がある。

―液状化現象
水で飽和した粒ぞろいの砂質地盤が地震の際に液体のようにふるまう現象。流動化、流砂現象、噴砂現象ともいう。そのような地盤は強い地震動をうけると短時間に体積を縮小しようとするが、水が逃げ切れないので間隙(かんげき)水圧があがり、それが砂粒どうしの押し合う圧力をしのぐと、地盤全体が比重の大きい液体の状態になる。地盤が液状化すると、砂まじりの水が地表に噴出したり、地盤が亀裂、沈下したりして、惨害をおこしやすい。

『リフォーム』その6

◆外壁を除去した後に外断熱を施工 ◆

「省エネリフォームについて話しましょう。リフォームで断熱性能を上げるために、どんな方法を採用していますか?断熱性能をアップさせるために一番大切なところといえば・・・外壁ですよね?外壁について、具体的に教えてください」
「岐阜市のM邸と一宮市のK邸※25では、外壁の仕上材を除去して新しくしたい・・・でも、室内側は今のまま残すというリフォームだったので、外壁を除去した後に屋外側から外断熱を施工しました」
「リフォーム前は土壁だったの?」
「K邸は土壁でした。M邸※26は設計図が残っていて、それを見ると土壁だったので、じゃあそれを残して外断熱をと考えたんですけど・・・外壁を除去してみたら土壁が見当たらなくて、厚みが50㎜くらいのグラスウールが入っているだけでした(笑)」
「そうするとK邸は、土壁をそのまま残して、その外側にボード状の断熱材を貼ったんだね」
「はい」
「断熱材の厚みは何㎜ですか?」
「ネオマフォームという断熱材で、厚みは30mmです」
「なるほど。でも、室内からの湿気で内部結露する心配はないの?」
「室内側からの湿気に対しては、土壁があるので・・・」
「土壁が呼吸してくれる?」
「そうです」
「じゃあ、M邸はどういう風に考えたの?」
「柱の外にネオマフォームを貼っただけです」
「じゃあ、ネオマフォームで外断熱をする場合、土壁がない時も室内側に気密シートを貼る必要がないということですか?」
「ネオマフォームの標準仕様を読むと、屋外側に透湿防水シートを貼ればいい※27と書いてあります」
「内部結露しない特性があるんだね?」
「そこがグラスウールとは違う、と理解しています。それから、ネオマフォームを使うメリットは、火に強いということです。スチレンボードのような断熱材に比べると燃えにくいので・・・安全性が高いといえますよね」

◆土壁は断熱性能が低い ◆

「土壁ですが・・・お客様の中には、隙間風は寒いけど、土壁自身は断熱性能が高いと思っている方が多いようだけど・・・実際の断熱性能は、普通の家庭用グラスウール断熱材の1/10程度なんだよね。・・・他に断熱の方法を採用したことはありますか?」
「小牧市のO邸は、リフォームと増築工事をしたんですが・・・既設部分の筋交いに新しく補強金物を取り付けるために外壁を除去したので、断熱材を外から施工しました。使ったのは新築部分と同じグラスウールです。ただ、気密シートを貼れない部分があったので、袋状の耳付きグラスウール※28を隙間なく重ねてテープでとめて・・・という方法を採用しました」
「グラスウールの場合、内部結露という問題があるから・・・室内側からの湿気を遮断する必要がある。断熱材を外から貼る場合は、ボードにしろ、袋状のものにしろ、邪魔するものがないから非常に施工が楽なんだよね。だから、リフォームで外壁を改装する場合は、外断熱の採用は確かに有効な方法だと思いますね。あと、発砲ウレタンを採用したところは?」
「岐阜のY邸は発砲ウレタンですよね?」
「壁が土壁で外壁を改装しない場合もあるじゃないですか?そういう時は、土壁に直接現場発泡ウレタンを吹き付けると隙間も埋まるし、簡単に断熱性能もアップする。ただ、最近、発砲ウレタンは燃えやすいから危険だという指摘もあるので、ちょっと考え物だけどね」
※25 一宮市のK邸
土壁の外壁の上から断熱材を施工しました。
※26 M邸
土壁だと思って外壁をはがしてみると・・・グラスウールが入っているだけでした。
※27 
ネオマフォームの上に透湿防水シートを貼れば気密も取れる。

―グラスウール
溶かしたガラスを遠心力で吹き飛ばして綿状にした繊維に、少量の結合材(フェノール系樹脂)を加えて固めたもの。繊維サイズは直径4~8ミクロン、長さ10ミクロン以上の短繊維で、不燃材料。

―ネオマフォーム
フェノール樹脂でできた断熱材。表面の面材はポリエステル不織布ですので燃焼しますが、フォーム本体は火を当てると炭化する、自己消火性の素材。

ネオマフォームは炭化するだけで燃え拡がらない。
※28 耳付グラスウール
表面に耳付きのポリフィルムの付いたグラスウール。

『リフォーム』その7

◆アルミサッシのガラスだけじゃなくて枠も結露◆

「窓の断熱改修について話しましょう」
「最近は、いろいろな種類のリフォーム用サッシが出てきました。現在設計している一宮市のK邸では、今ついているサッシを除去するんですが外壁には傷をつけないカット工法と、開口部は少し小さくなりますが、既設の上に新しいサッシを被せて取り付けるカバー工法の2種類を採用する予定です」
「この間ご相談を受けた一宮市のM邸のサッシは、ガラスだけじゃなくて枠も結露※29していたよね?」
「はい、古いタイプのアルミサッシは、そういうことがよく起こりますねえ」
「菅野企画設計が設計する標準仕様のアルミサッシは、枠の屋外側と屋内側の間に緩衝体があって熱が伝わりにくい構造体になっているので、枠に結露することは起こりにくい・・・ただ、ガラスが一枚だとどうしても結露する可能性が高いから、ペアガラスにして解決する。ところが、古いタイプのアルミサッシは、枠の中に緩衝体がないので、ガラスより先に枠が結露してしまう。ところで、ペアガラスの空気層は何ミリのものを使っているの?」
「以前は6mmでしたが、最近は12ミリを採用しています」
「既設の枠を利用して、ガラスだけペアガラスにする方法はどうですか?アタッチメントで簡単にできると聞いたことがあるけど・・・」
「ああ、ありますね。一宮市のN邸ではその方法を採用するか、二重サッシ※30にするか、どちらがいいのか考えたんですけど、やはりアルミ製の枠自体の断熱性能が低いという問題が残るので・・・あのお宅は結露がひどかったので、二重サッシの方が確実だろうと。ただ、窓が二重になって開け閉めが2回になるので、お客様によっては嫌がられるかもしれません。N様は開け閉めの問題より結露しない方を優先されたので、後付け二重サッシにしました。その結果、断熱性能がすごく向上して結露も解消されたと喜んでいただきました。それに、遮音もよくなって、すごく静かになったそうです。改修する工事費も安くすみますし・・・いい方法だと思いますよ」
「最近、簡単にガラスを二重にできて、断熱性能があがりますなんて書いてある新聞の折込チラシなどを見かけるけど・・・アルミサッシの枠がどんな仕様なのか?調べる必要があるということだね。アルミは錆びにくいという利点があるけど、ガラスや鉄よりも熱が伝わりやすい金属だから」
「古いタイプのサッシは気密性もあまりよくないので、隙間風が入って来ることもあります。だからガラスだけ替えるよりは、もうちょっと根本的な解決方法を考えた方がいいでしょうね」
「以前リフォームさせてもらった岐阜市のM邸では、アルミサッシのガラスだけペアガラスに入れ替えました。二重サッシにできるのでは?と検討したのですが、当時は壁が薄いと取り付けられない場合があったんですよね。M様のお宅はちょっと難しかった。でも、最近ではそれも解消された新しいものができています」

◆北側や西側に断熱性能が高い木製のサッシを◆

「アルミサッシを取り替えるとなると・・・どういう種類のアルミサッシがあるの?」
「断熱アルミサッシとか・・・」
枠の中に緩衝体が入っている※31・・・」
「屋外側がアルミで室内側が樹脂になっているタイプや全部が樹脂製のものもあります」
「それから木製サッシ」
「断熱性能という観点では、木製サッシが一番優れているよね」
「そうですね」
「何で使わないの?」
全員
「値段が高い!(笑)」
「海外では、三重ガラスの木製サッシとかが当たり前のように使われていますよね?日本でも、断熱性能が良い木製サッシがもっと安く手に入ればいいのにと思います」
「そうだね。日本で木製サッシが普及しないのは、値段の問題が一番大きい。でも・・・日本人は引き違い窓を使いたがるでしょう。引き戸の気密性をとるというのはすごく難しい。大きなクレセントで、ぐいっと閉めないと・・・そのあたりの細工が難しいし、高くつくんですよ。余談ですが・・・高価な木製サッシは南側のリビングに使いたいという人が多い。人目につくところにお金をかけたいというのが人情ですからね。でも本当は、南側の窓はアルミサッシでもいいから、北側や西側に断熱性能が高い木製のサッシを使うべきなんです」

◆地域性を考慮した設計が必要◆

「ペアガラスだけじゃなくて、ガラスによる断熱性能アップという方法もあると思いますが・・・LOW-Eガラスを使ったことがありますか?」
「大垣のW邸で使いました。熱を反射してくれるので、夏の暑さ対策で使いました」
「反射膜を室内側に向ける※33のか、屋外に向ける※32のかで効果は違います。夏の日差しを防ぐこともできるし、室内の熱を逃がさないという効果も期待できます」
「ドイツでは、既にLOW-Eガラスが常識だという記事を読んだけど・・・日本でもペアガラスが普及してきたら、値段が驚くほど安くなった。だからLOW-Eガラスも普及してくれれば安くなる可能性があるよね。日本人は大きな窓が好きだけど、壁と比較すると断熱性能が相当低い。窓の断熱性能アップは、省エネ住宅にとっては欠かせないことだと思う」
「去年、私の実家が家を建てたんですけど、アルミと樹脂の複合サッシ※34でペアガラスを使用しました。ところが・・・今年の冬に帰ったら、樹脂の枠も結露しているんですよ」
全員
「えー!!」
「だから、岐阜県の北部とこの辺では、寒さが全然違うんだなあとつくづく思いました。地域性などをもっと勉強して設計しないと、と反省しました」
「岐阜県は隣の県だからね(笑)。道路が整備されて、近くなったし・・・」
「そんな経験をするとやはり木製サッシがいいなって、思いましたね」
「ただ、木製サッシはどうしても壊れやすいよね。菅野企画設計の事務所で採用した木製サッシ※35も枠から水が入ってくるようになって・・・昨年、事務所を改装した時とり替えちゃった。10年持たなかったことになる」
「そんなに短いんですか!?」
「そうだね。それは粗悪品だ!という反論をされるかもしれないけど・・・でも、木製なんだから半永久的なものでは決してない。いつかは壊れて水がしみてくる危険性があるというのは間違いない事実だよね。だから、庇を充分出したデザインにするとか・・・設計にはいろいろ工夫をするべきだと思いますよ」
※29 
古いサッシは枠も結露する。
※30 二重サッシ
■二重サッシ-「ペアガラス/複合サッシ」とは違い、サッシが二重に設置してあります。(外側サッシ: アルミ枠 単板ガラス)(内側サッシ: 樹脂枠 単板ガラス)
※31 枠の中に断熱樹脂が入っているサッシ
※32 LOW-Eガラス遮熱タイプ(金属膜が室外側)
※33 LOW-Eガラス断熱タイプ(金属膜が室内側)
※34 アルミと樹脂の複合サッシ
※35 弊社の木製サッシ

『リフォーム』その8

◆基礎を現場発泡ウレタンで断熱◆

「冬になると床が冷たい家って多いですよねえ。床の断熱はどういう方法を採用していますか?」
「一宮市のN邸は、リフォーム前、床下に断熱材が入っていませんでした。とても床が冷たいということだったので、床下の通気口を塞いで基礎を断熱※36しました。基礎の壁には現場発泡ウレタンを吹き付けました」
「床下も室内という考え方だね」
「そうです」
「基礎を断熱して、床の裏には断熱材は入れないという方法ですよね。菅野企画設計の事務所も床がとても冷たかったので、2006年に基礎を断熱しました・・・その結果は?」
「以前よりは改善していると思いますよ」
「改修前は床下換気口を設けて、床下に断熱材を入れていた。でも、冬はつまさきが凍るように冷たくて・・・中が起毛しているスリッパを履いていたんだけど、今年は普通のスリッパで大丈夫。(笑)でも、人間の体ってすぐ慣れちゃうから、正直実感が湧かない」
「各務原市のK邸は、現在リフォームの設計中ですが・・・新しく基礎を造る予定なので基礎を現場発泡ウレタン※37で断熱しようと」
「今は基礎がないの?」
「はい、現在は石の上に柱が立っています※38
「ジャッキアップして、基礎を造るわけだね」
「予算の関係でちょっと微妙ですけど」
「でも、そこまでやらないと建築基準法に適合する耐震補強にならないよね?」
「そうです」

◆エアコンも、ちょっとつけるだけで効きがいい◆

「一宮市のK邸のように建物の一部だけを改修する場合は、従来どおり床フローリングの下に断熱材入れる工法を採用しています。確かに断熱材の効果は大きいですが、床に合板じゃなくて桧板とか杉板を貼ると、それだけで結構暖かくなったと、よくいわれますよ」
「以前、お寺の庫裡(住職の住宅)で床に桧の無垢板を貼ったんですよ。日当たりのいい部屋だったせいもあるけど、確かにポカポカしてる。板の厚みが12mmもあると結構蓄熱するみたい。夜も暖かくて、みんな床の上でゴロゴロしてますよと住職がおっしゃっていた」
「一宮市のN邸で強く感じたのは、気密をよくして断熱をすると・・・断熱性能が低いところがすごい被害を受けるということです」
「あのお宅はツーバイフォー工法で建てられていて、壁は気密性が高かくて断熱材も入っていた」
「ところが、天井には断熱材がなかった・・・」
「だから、断熱性能が低い2階の天井と窓にひどい結露※39が生じた。以前、古民家を移築、リフォームして住んでいる人が書いた本を読んだんだけど、初めての冬に天井からポタポタと水が落ちてきた。何だろうと思って調べてもらったら天井に結露した水だとわかったって。その本の著者は、古い家に住んでいるんだから仕方がない、とか書いていたんだけど、実は、その考えは間違いで、断熱性能が極端に低いところをつくってしまったのが原因なんだよね。断熱性能をアップしてあげれば、そんなことは起きない。古い家をリフォームしたり、古民家を移築して住みたいという方は、雰囲気を楽しむためには、快適性をある程度犠牲にしなければ、と思っているんじゃないか。でも、そんなことはない。現実的に、菅野企画設計がリフォームの設計をした家に住んでみた感想、お客様からどんなふうに聞いてきてますか?」
「そうですね・・・居住性はかなり改善されましたと言ってくださる方が多いですね」
「先ほども話題になった一宮市のN邸はどうだった?」
「一番悩んでいた結露については、完全に解消されたと。床も基礎断熱をしたので、本当にもう冷たくて・・・という状況は解消されたと言われましたね」
「岐阜市のMさんは、今まで、石油ストーブをガンガン焚いていても、常にどこからか冷たい空気が入ってくるという状況だったけど、リフォーム後は戸を開けておけば玄関や廊下、2階まで暖かいですよと。エアコンも、ちょっとつけるだけで効きがいいと喜んでくださいました」

◆家の中のヒートショックは、すごく怖い◆

「お風呂とか洗面所とか、古い家はとても寒いでしょ。お年寄りがそういうところで服を脱いで、熱いお風呂に入ると・・・脳溢血を起こして溺死する人がすごく多いんですよ。それから、お便所の中で倒れて死んじゃう老人も多い。だから、家の中の温度差つまりヒートショックは、すごく怖いし危険なんだよね。日本は高齢者社会なんだから、住宅の温度環境にも配慮した設計が必要だと思う。先日相談を受けた一宮市のM邸もお風呂が寒そうだったよね」
「はい。本当に寒そうでした。でも私の実家は家全体が寒いので、逆にヒートショックはないですけど(笑)」
「小牧市のOさんは、今までのお風呂がタイル張り※40で、本当に寒くて耐えられないということで、ユニットバスにしたいと・・・断熱性能を重視してINAXの製品を選ばれました」
「最近、ユニットバスじゃなくて、ちょっと変わったお風呂を造って欲しいというお客様がちょくちょくみえますが・・・ちょっと緊張するよね。ユニットバスなら気密性、断熱性能が高いから安心だけど、お風呂を設計するとなると、外壁にはよほど断熱材入れて、室内側には木の板を貼って・・・でも、まだ寒いと。同じような仕様にしても、各務原市のOさんは快適だとおっしゃるし、一宮市のYさんは寒いと・・・なかなか設計が難しい」
※36 床下換気口を塞ぐ
居住空間だけではなく床下の環境も室内の一部と考え基礎から断熱します。

―基礎断熱
床下ではなく基礎の外側で断熱すること。基礎でしっかり断熱すれば、床下は外気温の影響を受けにくくなり、居室と床下の温度環境を一定に保つことができます。

※37 現場発泡ウレタン
断熱効果は、薄くても十分な上、気密性に優れており、水などを通しにくい性質を持っています。
※38 玉石基礎
直径15cm~30cm程度の円形をした石を礎石に用い、その上に土台や柱を乗せる基礎のこと。基礎の中では、石積み基礎やブロック積み基礎と同じく、最も耐震性が低いと判断される。
※39 窓の結露
※40 タイル貼り浴室 
冬はかなり冷え込んで寒い。タイルに目地割れができる。浴槽とタイルとの間に隙間が生じる。滑りやすい 。などの欠点がある。

―ヒートショック
暖かい場所から寒い場所へ移動するとき体が受ける急激な温度変化をいいます。それによって血圧が急変動したり、脈拍が早くなったりし、特にお年寄りの方のお体にとって、とても危険なことです。

■桧板貼りのお風呂

『リフォーム』その9

◆階段が嫌で外に出るのもおっくうになっていた◆

「バリアフリーについて話しましょう。どんな工夫をしていますか?具体例を教えてください」
「知多市のK邸ですが・・・リフォーム前は和室が田の字型に並んでいて、水周りは土間になっている状態でした。それで土間の上に床をつくって・・・家の中をフラットに歩けるようにしました」
「そうだったねえ。築80年くらい経った家だったから、段差があちらこちらにあった。お風呂へ行くのも土間を歩いていくような状態だった」
岐阜市のM邸※41は、玄関と道路の間に1m40cmくらいの段差がありました。リフォーム前はくの字に階段を上がっていくようになっていて・・・それが高齢のお母様には負担だったそうです。それで、真直ぐの階段にして・・・」
「くの字に曲がっている階段・・・それがどうしていけなかったの?」
「幅も狭くて・・・以前はお父様が家で寝たきり状態だったそうですが、幅が狭い上に階段がくの字に曲がっていると、介護する人も登り下りが大変で・・・一段の段差(蹴上げ)が、ちょっと大きかったっていうのもありますけど・・・その階段が嫌で外に出るのもおっくうになっていたみたいです」
「狭くて急だった上に曲がっていたんだ」
「そうですね。しかも、2回曲がるような感じだったんで・・・最初から、真直ぐにしてほしいと強く希望されました。階段を真直ぐにして、両側に手すりを付けて・・・登りやすくなりました。それから、瀬戸市のI邸で、リビングの隣に洗面脱衣室を造ったんですけど、引き戸を開け放してリビングを暖房すると、洗面所の方まで暖かくなるので・・・ヒートショックが無くてすごく快適だと言われました。それに、洗面脱衣室を広くして床の段差も無くしたので、寝たきりのおじいさんの介護が楽になったと喜んでいただきました」
「小牧市のO邸は、お母様の体が不自由になって、同居することがリフォームのきっかけがだったんですけれども・・・お母様の行動範囲は全て1階に配置して床も段差を無くしました。それから間取りも、お母様の寝室のすぐ近くに洗面所、お風呂、トイレを配置しました。もちろんトイレもお風呂も手すり付きです。特にお風呂は、お母様の症状に合わせて、使いやすい位置に手すりを付けました・・・将来に備えて手すりを、というお話もよくありますけど・・・手すりが本当に必要になったとき、実際に使いやすい位置だろうかという心配もありますよね。でも今回は、はっきり症状が分かっていたので、適切な位置に手すりを付けることができました。それから、玄関を広めにとって、ベンチと手すりを付けたりしました」

◆トイレには介助者が一緒に入れるくらいの広さを◆

「お便所をバリアフリーにするためにはどうしたらいいんですか?という相談を受けることがあるよね。小牧市のO邸では、体が不自由な方がいたのでその症状に合わせて考えればよかった。でも、将来のために、というのはすごく難しい話でしょ。お客様にはどんなアドバイスをしていますか?」
「先日、お客様からちょうどその質問を受けました。お父様が高齢なので、将来のために車椅子がトイレの中に入れるくらい広くしておいた方がいいでしょうか?と。でも、車椅子で中に入って、自分で便座に移るとなると、かなり広いスペースが必要で、畳2帖でも足らない。そこまで広いスペースをトイレに使うのは、もったいないと思います。家族の誰かが付き添ってトイレに入ることができるように、多少広めに造っておけば十分だと思います。もし最悪を想定するのなら、水廻りを固めて配置しておいて・・・必要が生じたとき、壁を抜いて大きなトイレにするとか、そういう対処の仕方がいいのではないでしょうかと、返事をしました」
「多少広めというのは、車椅子で入れる広さ?」
「例えば、用が足せる車椅子にトイレの外で乗り換えるようにすれば、後ろ向きで入れるスペースでいい。でも、便座の横に車椅子を置いて、そこから手を使って移動してっていうことになると、畳2帖分の幅が最低でも必要になってきますから・・・どこまでを想定するのかだと思います」
「車椅子でも使えるように、という言い方をよくするけれども、車椅子を使う人は2種類あると思うんです。身体障害者、要するに体が不自由になった方と高齢になって自分のことが自分でできなくなった方。下半身麻痺でも十分体力があって、運動競技をするような人だっているわけで、そういう人は狭いスペースでもクルッと回転して、自分で用をたすことができる。ところが年を取って、という方は自分で用をたすことは難しい。みなさんが心配しているのは、高齢者になって、自分で用が足せない、要介護の人のことだから、そうなった場合は家族が介助してあげるというのが現実的な話だと思う。だから、当面は介助者が一緒に入れるくらいのスペースがあればいいと。ただ手すりについては、元気なお年寄りでもお便所でフラフラしたり、立ち上がる時に力が入らないこともあるので付けておいたほうがいいでしょうね。もし、それでは済まないような状況になったときは、また考えればいいし、先ほど長井君が言ったように、水周りを固めておいて、必要に応じて壁を抜くというのもいい方法だと思います」
※41 岐阜市のM邸
以前のクランクしていた階段を真直ぐな階段に改修。
スロープで段差を解消した物件もあります。
広い洗面所に改装。イスに座っ、足が当たらない様、洗面カウンターの下はOPENに!
見た目もスッキリとした式の手摺り。
車いすを利用してトイレを使用する例(それぞれ必要な最小スペースが異なります)
車いすで一部介助の必要な方の場合
車いすで全介助の必要な方の場合
車いす自走の方の場合

『リフォーム』その10

◆当面は手すりを付けておけばいい◆

「バリアフリーにリフォームする場合、玄関の段差をどうするのか?という問題がある。段差についてはいろいろ意見があるようだね。フラットにしたいという人もいれば、いやそれはちょっと・・・ここで腰掛けて靴を履きたい、年を取ったら余計にそうしたほうがいいんじゃないかという人もいるよね。どう思いますか?どんなお客さんがいましたか?知多市のT邸※42では、玄関に椅子を作ったよねえ?」
「そうですね、あのお宅は玄関が広かったので、椅子を作るスペースが確保できました。木でベンチを作って・・・そこで靴を履いたりできるようにしました」
「玄関のスペースを広くして、当面は手すりを付けておけばいいんじゃないか、とも思うけど・・・」
「そうですね。現実にベンチが欲しくなったら、自分でベンチを買ってきて置きますとおっしゃる方も多いですよ。壁に折りたたみできるベンチがありますよね、埋め込み式の。どの現場かは忘れましたが・・・ちょっと提案してみたんですけど、見た目が嫌だと、必要になったらオシャレな椅子を玄関に置きますよと却下されました(笑)」
「名古屋市のI邸は?」
折りたたみ式のベンチ※43をつけました(笑)。お母さんは、勝手口から出入りすることが多くて・・・あのお宅の玄関は、きれいなお庭の中を飛び石で歩いていくようになっていて・・・お客様はそこから出入りしてもらうんですが、家族は道路に近い勝手口から出入りされていたんです。その勝手口自体はあまり広くなかったので、折りたたみのベンチを」
「そこで、お母さんが車椅子に乗り換えるということ?」
「いえ、お母さんは足が悪いといっても杖をついている程度なので・・・靴を履き替える時とか、上に上がる時にベンチがあった方がいいかなということです」

◆玄関の段差はあってもいい◆

「車椅子といっても、屋外用と屋内用があって・・・屋外用車椅子のまま上にっていうことはまずない。その当たりを間違えてイメージしている人が結構いて、屋外用車椅子のまま室内に入ってくると勘違いされている。屋内用車椅子はとても軽くて、機敏な動きができるけど、屋外用車椅子はものすごく重いから、あれでそのまま室内に上がったら、床板がすぐ壊れてしまう」
「だから、屋内用の車椅子へ乗り換える方法を考えておく必要があるんですよね。でも・・・玄関の上り框の段差が大きくなければ、家族が介助して・・・それで話は済む」
「そうそう、腕に力が入る方なら、ベンチの上を自分でいざって乗り換えるということもできる。だから、玄関の段差を5cmも上げてはいけない!なんて考えるのは、大袈裟すぎると思います。そう言えば、玄関の段差を小さくすると、土間が土台より高くなるでしょう。専門的な話だけどさあ。土間は水洗いしないでくださいなんて話になって、設計士としてはあまりありがたくないよね。日本人は玄関で靴を脱ぐ習慣があるんだから・・・段差を小さく小さくと考えるのは、本当にバリアフリーなんだろうか?と私は思ってるんですが・・・どう?」
「バリアフリーという言葉が一般的になったので、せっかく家を建てるのなら年取っても使いやすいようにバリアフリーにしようと考えますよね。でも、実際身近に車椅子で生活してる人がいない。だから、車椅子は乗り換えることになるんだから、玄関の段差はあってもいいんですよとか、そういう話は私たちからしてあげることが必要ですね」

◆バリアフリーリフォームの鉄則◆

「結局、玄関は広く※44廊下の幅は広く※45、それから部屋の入り口を広くするってこと。これは絶対必要だね。私が設計士になった頃は、狭い部屋につける扉の幅は狭くした方が品がいい、そういう情緒論で決定していた。だから、お便所の扉は55cmか60cmの幅しか無かった。でも、今そんな設計をしたら、非常識だと言われるよね。介助者も入るのに、こんな狭い扉は困るじゃないか(笑)」
「やはり有効で80cmの幅は欲しいし、できるだけ引戸に※46したいと思いますねえ。玄関もできるだけ広くして、幅は1間以上欲しい。それから廊下の幅も、有効で90cm以上にして・・・それが設計の常識になってきたと思います」
「それから、敷地に段差があるような場合、いくら住宅の中をバリアフリーにしたって、玄関と道路に段差があっては意味が無いじゃないか、なんて言う人がいますが・・・そうじゃなくて、階段ができるのなら少しでも登りやすくしてあげる。All or Nothingではなくて、10よりは5、5よりは3というように、バリアを少しでも低くしてあげるという考え方が大切。それがバリアフリーリフォームの鉄則だと私は思ってる。どうせ完璧にならないなら、何もやらないほうがいいっというのは大きな間違いだと思いますね」
※42 知多市のT邸
O邸 玄関
※43 折りたたみ式のベンチ
※44 広い玄関
※45 幅が広い階段・廊下
※46 引戸のトイレ

『リフォーム』その11

◆住みながらリフォームも不可能ではない◆

「大手リフォーム会社の宣伝には、住みながらリフォームができますとはっきり書いてあるよねえ。現実的にどうなんだろう?」
小牧市のO邸※47は住みながらリフォームしました。お母様の体のこともあって、引越しはなるべく避けたいということだったので。先ず、お母様が住んでいた母屋を壊したんですけど・・・リフォームする離れにはお母様の寝るスペースが無かったので、仮設でひと部屋造りました。次に離れをリフォームと増築して、お母様に移ってもらい、仮設の部屋を取り壊しました。ただ、新しい水廻りができるまで離れの水廻りを使えるように・・・間取りも考えました」
「間取りの検討段階から配慮していたということだね?」
「そうです。お母様の寝室を建てる場所も考えて・・・。だから、いろいろな条件がそろわないとなかなか実現できないと思いますけど、初めから条件に入れて考えれば不可能ではないと。それから、工務店さんの協力も不可欠だと思いました」
「だから、必ず住みながらリフォームできるというのは、ちょっと過大広告だと思うよね・・・リフォームでは水廻りを改善したいという方が多い、でも日本人は工事中もお風呂へどうしても入りたい。当然お便所。それから台所。これはもう毎日の生活で欠かせない問題ですよね。」
「名古屋市のI邸のリフォームは、住みながらの工事になったんですが、主にダイニングキッチンの改装だったので、台所が使えなくなってしまいました。それで、仮設の部屋を造って、今まで使っていたキッチンを移動しました」
「キッチンは、また戻したの?」
「いえ、そのキッチンは捨てて、新しいキッチンを入れました」
「お風呂はリフォームしなかった?」
「しませんでした」
「工事中、屋外にお風呂を設置したお宅があったねえ?」
「はい、名古屋市のK邸や一宮市のK邸、名古屋市のS邸がそうです」
ユニットのお風呂※48をリースして、庭に設置するんだよね。お風呂がないとどうしても困る!という方が結構多いけど、最近では近くに銭湯なんか無いからね。アパート借りると敷金礼金とられちゃうし・・・だからいい方法だと思うけど、案外知られていない」
「そのお宅は、トイレとかキッチンはどうしたんですか?」
「名古屋市のS邸は離れがあって、そちらにキッチンがあったので・・・一宮市のK邸は、小栗さんが紹介した名古屋市のI邸と同じ方法で・・・それまで使っていた流し台と、ガスコンロを離れに設置して、まあ外を歩いて行くんですけど。お風呂は、浴槽と脱衣場付きのユニットを玄関先に置いて」

◆リフォームの養生は厳重に◆

「住みながら工事をした場合、騒音とか埃の問題はなかったですか?」
「工事を始める前に、ある程度説明をするので・・・解体の時は大きな音がしますし、埃も出ますよと。工事中はお客様も、結構音や埃がすごいねえとは言われますけど、今まで問題になったことはないです」
「大垣市のW邸リフォームの時は、工務店さんがあまり養生をしなかった。お客さんはリフォームしない部屋にタンスをまとめてくださったんだけど・・・壁土を壊すと土埃が舞って、引き出しの中まで埃だらけになった。あの時はひどく怒られた。間仕切りがあっても、ブルーシートを貼るような配慮※49が必要だよね」
「そうですね。リフォームの養生は厳重にお願いしています。小さな隙間や引き戸周りはシートで何重にも囲ってテープを貼ってもらいます。先日完成した一宮市のK邸では、階段もリフォームの範囲に入っていたんですけど、週末は2階を使いたいと希望されたので・・・工務店さんに説明して、階段とそこへ行く通路は毎日掃除をしてもらいました」
「なるほど。現在お願いしている工務店さんは、いろいろな配慮をして工事を進めてくれるから、お客さんから苦情が来ることが少ないですよね。とてもありがたいと思う」
「名古屋市のI邸では、ご夫婦が働かれていたので、昼間お母様が一人になってしまうんで工事中、知らない人たちが出入りすると不安だと。それで、扉に鍵をかけられるようにしてもらいました。お母様の安全というか安心を確保して(笑)」
「お年寄りの気持ちに配慮してあげるというのは、とても大切なことだよね。知多市のK邸も、設計時点で、お父さんとお母さんがリフォームすることを不安に思っているようだとお聞きした。それで、思い切ってその間だけ引越ししてもらった。お年寄りがいらっしゃるお宅は、無理に住みながらリフォームしようと考えない方がいい。健康を害するようなことがあったら大変だからねえ」
※47 小牧市のO邸 仮設部屋
住みながらリフォームしました。
※48 仮設ユニットバス
ユニットのお風呂をリースして、庭に設置。
※49 ブルーシートで養生
間仕切りがあっても、ブルーシートを貼るような配慮が必要。