家づくりのノウハウ/フリートーキング

テーマ「お洒落な古民家デザイン」

参加者紹介

菅野良司
高い設計力、気さくなスタッフ育てています。
長井真美
家族のたくさんの「想い」に応えたい。
東松泰志
武田亜紀子
「こんな家にしたい!」思いをたくさん聞かせて
野村建太
こだわって下さい!家はライフスタイルを表します。

『古民家再生』その1

◆南側が納屋や客間で、自分たちの部屋は奥◆

「最近、古民家が人気のようですが……間取りが現代の生活にマッチしてないことが多いわけです。古民家の間取りというのは、だいたいがよく似ていて・・・玄関に土間があって、通り庭があって、奥まで行ける。玄関の西側に取次ぎがあって、8帖間が田の字型に並んでるような。玄関の東側、昔納屋だったところが子供部屋に改装されていたりね。で、その北側には台所やお風呂、便所といった水廻りがある……そんな間取りを、どうやって現代的な生活ができるようにリフォームしたのか?実例を話してください。」
「瀬戸市のI邸は、玄関の土間を以前リフォームして、リビング、食堂、台所……全ての部屋が細かく仕切ってありました。でも、逆にそれが原因で使いにくくなっていたんです。それから、お風呂が狭くて寒いという問題もありました。それで、今回のリフォームでは廊下を無くしてしまって、ワンルームのLDKを造りました。そこから直接洗面所に入れるような……シンプルな間取りにしました。」
「田の字型の和室はそのままの形で残したんだよね。」
「そうです。」
「知多市のK邸の西側には田の字型の和室があって、東側は全て土間。お風呂とかはその土間にありました。だから、お風呂や台所へ行くときは靴を履き替えてみえたし、トイレにいたっては外にあって……すごく不便でした。今回のリフォームでは、土間に床を張ってリビングを造り、和室からそのリビングや水廻りへ行き来しやすくしました。」
「南東にあった土間の倉庫をリビングにしたんだよね。」
「そうですね、はい。」
「でも、考えると不思議だよね。一番日当たりがいいところが納屋だったというのはねえ(笑)」
「結構そういう間取りが多いですよ。」
「何でなんだろうねえ?南側に納屋や客間を配置して、自分たちの部屋は奥という感覚は……。」

◆もともとの形を見極めて、そこから始める◆

東松(以下
高富市のY邸※11は、玄関に広大な土間ありました。土間の西側には昔ながらのお座敷が並び、東側の昔の納屋は子供部屋に改築されていました。ただ、お風呂へ行くのに土間に降りて、また上って・・・お風呂は一番端っこにあったもんですから・・・非常に使いづらいことになっていました。現在は70歳代のご両親が暮らしてみえるだけなので、二人が住める完結したスペースを土間の上に新築してしまおうということになりました。それで、お部屋に入ったらリビングから寝室からお風呂まで全部バリアフリーにしようということで、段差が無いように。」
「つまり、土間の上にお風呂、便所付きバリアフリーの一軒家を造ってしまったということだね。」
「そうです。」
「今回は、息子さんたちがリフォームしてあげたわけだけど、最初ご両親は、既設の部屋は冬寒いからここに住むけど、夏は戻りたいと……でも結局、快適だから同じところに住んでみえるみたいですよ(笑)」
「岐阜市のA邸は、民家の一般的な間取りで、田の字型プラスアルファみたいな大きなお宅でした。色々増改築してあったんですけど……単なる欲しいもを付け足したというだけで、全体の構成はもう無視してですね……大事な部屋を塞いでしまうようなことがしてあったり。結局、トータルで考えられてないリフォームがしてありました。」
「とても安易な増改築がしてあるなあと思ったよねえ。」
「そうなんですよ。それで不必要な部屋を取り除いて、新しく必要な部屋を付加していきました。さらに、それを使いやすくするために、いろんな工夫をしたんですけれども……過去に行われた変な改造をまず除去して、本来の姿にするというのが、古民家再生の第一歩かなと。揖斐郡のH邸も、変なリフォームをどんどん繰り返していった結果、気が付いたらすごく使いにくいことになっていた。仕方がないから、一度減築して、そこから考え直す。結局、民家のもともとの形を見極めて、そこから始めるというやり方がいいのではないでしょうか。古民家の魅力はその構造躯体だから、それをいかに生かして、現在の生活に合った間取りにするか……それが古民家再生なんだなと、今回も思いました。」
▲古民家の間取り(例)
▲日当たりのいい納屋(・_・;)
▲再生された古民家の部屋
※11 高富市のY邸
▲古民家再生前の外観
▲土間
▲道路から建物全体を見る

『古民家再生』その2

◆北側リビングは品がいい◆

「岐阜市のA邸では、南側の座敷はそのまま残したいと。座敷には貴人口まであるから・・・だからリビング・ダイニングを北側に配置※12したんですよ。今まで、リビングは何しろ南側にと考えて設計してきたから、ちょっと暗くないかなという心配をしたんだけど・・・庭が広いお宅の北側の部屋は、太陽の光が庭木に反射して明るいんですね。」
「間接光ですよね。」
「そうそう、南側は太陽の光が強すぎて、特に夏なんか、眩しすぎる。それに比べると、北側の庭は、花も綺麗に映えて見えるんですね。改めて、この方が品が良いなあと思いました。何しろリビングは南側という固定観念を持つのはよくないなあと。もちろん、南側のリビングがいいとおっしゃるお客様も多いと思いますけど・・・今回は、新しい感覚を発見した気がしました。」

◆思い入れを生かした間取りを考える◆

「瀬戸市のI邸は、台所の裏側に食品庫があったでしょ?古い建物だったけど、おばあさんは気に入ってみえたんじゃないの?」
「そうです。リフォームした主屋の北側に離れがあって・・・建物の間が、畑で採った土物を置いておくようなスペースになってて。離れの中には、食器とか食品とかいろいろ置けるようになっているので・・・台所から出入りしやすいようにしました。」
「なるほど。」
「結構あのスペースは使いやすいですよね。」
「古民家は一般的に広い敷地に建っているから、付属建物が隣接している場合が多い。だから、主屋だけじゃなくて、屋外も含めて生活が展開しているような気がするんですよ。例えば、知多市のK邸も、台所の裏に土間を造ったよね?屋根をかけて、水道も使えるようにした。」
「洗濯物を干したり、野菜を洗ったり・・・いろいろ利用されています。」
「既設の倉庫との間にも屋根をかけてくれと。」
「はい、勝手口と洗面所から出入りができるようにしました。」
「岐阜市のA邸も、井戸とか裏の納戸にえらくこだわりを持ってみえたでしょ?」
「そうですね。最初から、納戸は壊したくないとおっしゃっていたので、大事にされているんだなあと感じました。それからもう使われていない井戸についても “井戸館(いどやかた)を建てたい”と言ってみえました。実現しなかったですけど・・・今考えると、北側の景色としては、やはり井戸館があったほうがよかった。」
「古民家には歴史があるわけでしょ。そこで長く生活が営まれてきたということだよね。だから家族にはいろいろな思い入れがある。そういうところを設計士はデザインに取り入れていかなきゃいけない。今の裏庭に井戸があるっていう感覚・・・それがお客様の頭に染み付いているだよね、きっと。だから、井戸は涸れていても残したいということになるし、あの場所にはこういう木があって・・・とか。だから、昔からある木や井戸が見える窓をリビングに設けるなんていうのもいいんじゃないの。」
「高富市のY邸も土間の奥に大戸があって、その向こうに蔵がある。昔は、大戸を潜って裏へ行ったなんて話があって・・・あの大戸は生かして欲しいと。」
「全部リフォームして、ただ快適になればいいというのではなくて、その家に対する思い入れを生かすような、そんな間取りを考えることが大事だと思う。瀬戸市のI邸でも、奥の座敷周辺は改築する気が無かったよね。お客様も。逆にそのまま残したいと。」

◆小屋裏を居室として利用する◆

「古民家の小屋裏は、薪を保管しておく物置くらいの感覚で造ってあるんだけど・・・あなたたちの設計を見ていると、小屋組に魅力を感じて、積極的に居住空間にする案※13を作ることがよくあるよね。」
「知多市のK邸も、ぐねぐねまがった小屋組みを客様がすごく気に入ってみえました。当初から、小屋裏は寝室に利用したいと希望されていたので、部屋として仕切ったプランも提案したんですけど、ワンフロア感覚で、小屋組みがインテリアとして生かせるような形で使いたいと。」
「なるほど。」
「それから、和室はそのまま残したいといわれると、どうしても生活する部屋数が足りなくなるんですよ。そういう場合は、小屋裏を居室として利用することを考えないと、間取りができないということもあります。」
「古民家は面積が大きい割りに個室が少ないんだよね。部屋が襖で仕切られているから・・・」
※12 北側の庭を眺めるリビング
▲井戸小屋のあるお宅。大切な生活水として利用してみえるお宅もあります。
▲改築前の古民家調査中。登り梁になっている場合は、居室として空間がとりやすく、利用しやすいです。
※13 小屋裏をリフォームした例。

『古民家再生』その3

◆和室は日本建築の真骨頂◆

「古民家には必ず二間続きの和室があるけど、最近新築の家にはほとんど造らないよね。でも魅力を感じる。床の間があって、部屋境には欄間と襖や障子が入っていて、天井には杉の板・・・現在はどんどんなくなっているけど、昔は当たり前にあった部屋なんだよ。」
「無駄のようで無駄じゃない部屋っていうか・・・」
「そうそう、無駄じゃない気がするんだよね。でも、家を新築する場合、和室はお金がかかるから・・・だから、せっかく和室があるのなら、できるだけ壊したくない。積極的に造りたいというわけじゃないけど・・・何とか残したい。壊したくないという気持ちだね。君たちは若いけど(笑)どう思う?」
「ぜひ、欲しいですねえ。自分としては和室が欲しいんですが(笑)・・・それが実現できないから、古民家再生では和室を残したいという気持がすごく強い。」
「自分の家だったら、と考えると、やはり普段は使わないから・・・和室は欲しいですけど。続きの間までは、なかなかできないなって思います。でも、せっかくあるのなら残した方がいいとは思いますね。それに親戚の人が集まるような家なら、どうしても必要だと思いますね。」
「先日相談を受けた一宮市のお客様は、すごく不安をもっているんだよね。古民家再生をやりたいんだけれど・・・お金かけて残してしまったら、子供たちが後で困らないかと。古民家再生に踏み切れない方も結構多い気がするんだけど・・・」
「残して欲しいですねえ。」
「残すべきですよ。」
「せっかく今あるんだから・・・これからも残していった方がいいと思います。あえて壊さなくても・・・ハウスメーカーの安っぽい家に建て変えられる事を考えるとやりきれないですよ。(笑)和室はやはり日本建築の真骨頂だと思います。」
「合板ばかりの家に比べたら・・・絶対残す価値があると思いますね。一宮市のE邸は、残そうか壊そうかまだ迷っていらっしゃるみたいですけど・・・壊すんだったら貰いたいくらい(笑)」
「そうそう、移築したいですよ。反対してる家族がいるんだったら、残したほうががいいですよって説得したい(笑)」
「私は、自分の家と両親の家を壁ひとつ境に接続して建てたんだけどね。私の家はとてもコンパクトで、和室が無い。でも、両親の家には二間続きの和室を造った。6畳間で両親が寝ていて、もう一間の8畳は仏間になっている。たまに、その仏間に行ってごろんと横になると、めちゃくちゃ気持ちいいんだよねえ。やはり、こういう部屋は必要だよなって思う。贅沢かもしれないけど、なんか無くしたくないなあと。だから、せっかく和室があるのならやはり残して欲しいと思うね。そりゃあ機能中心の考え方をすると、ここはリビング?何をする部屋?ということになってしまうけど・・・やはり座敷・和室なんだよね。床の間があって、風が通って畳の匂いがする・・・とても贅沢な部屋。それだけで存在価値がある気がする。」
▲古民家の和室
▲二間続きの和室
▲菅野家の和室

『古民家再生』その4

◆古民家の2階は補強しないと危険◆

「インテリアデザインについて話をしましょうか。先ず天井について……」
「天井ですか。まず知多市のK邸は、和室も含めて踏天になっていたので、できるだけ現状を生かすように。天井板を替えたのは居間の辺りだけです。傷みがひどかったので張り替えました。」
「ただ、あのお宅では2階の梁が細かったから……補強したんだよね?」
「そうです。以前からかかっていた梁の上にもう一本梁を重ねて……上下を固定して補強※14するというやり方で。」
「だから本来の踏天※15では無くなってるんだよね。」
「そうですね。重ねた梁の上に2階の床板を張りましたから。」
「岐阜市のA邸は、2階は物置でいいとお客様が話されていたので、そういう設計になっていたんです。でもその物置をいざ造ってみると、えらく魅力的な空間になって……やはり天井には木の板を貼ろうとか、壁もそうしようと……ただ、踏天を支えてる梁がほそくて、思うような居住空間にならなかったのがちょっと残念だと思いました。」
「お客様が最初から2階を居室にして欲しいと言ってくだされば、手はあったんだよね。床の補強をしないで見栄えだけ良くしてしまうと、ちょっと危険だと思う。ご主人には“2階の床の上には物をたくさん載せてもらっては困りますよ”と申し上げたんだけど・・・部屋の仕上げが綺麗になったら普通に使えると勘違いしてしまう。だから、大変危険だと。古民家の屋根裏はとても広いから部屋として使いたくなってしまうけど、床が簡易な造りになっていることが多いので、注意する必要がある。」

◆本物は質感が全然違う◆

「古民家は本物の素材をふんだんに使っているんで、デザイン的には本物の素材だったら何でもマッチするんじゃないかと思うんです。先日完成したA邸でも感じたんですけど……お客様が壁に大理石を貼りたいとおっしゃった時、実は僕自身抵抗があって。なんでこんなところに大理石貼るんだろうと。でも、いざ出来てみたら、これがなかなか合うんですよね。お客様の希望で、石は材質のいいものを、木材は東濃桧の上小節をという具合に吟味して、偽物の材料はほとんど使わなかったんです。すると、全ての材料が協調し合って……“いい空間ができたなあ”と思いました。」
「建具は相当狂っていたんで、これはもう替えましょうと提案をしたんですよ。でもお客様はできるだけ残して欲しいと。ただ、新しくする建具は、工事費が高くならないようにフラッシュでデザインをした。ところが……工事中の打合せで“ここはどんな建具を使うんですか?”と聞かれて説明したら、フリーズしてしまわれて(笑)。“合板じゃない、本物の木で作ってもらえませんか”。工事費はちょっと高くついたけど、やはり質感が全然違う。もし、設計どおりだったら……。古民家は柱や差し鴨居だけでも素晴しい存在感なんで、工業製品では対抗できないよね。」
※14 既設梁の下からボルトで補強。
※15 踏天: 板1枚で1階の天井と2階の床を兼用する。
▲天井に板を貼った2階物置
▲大理石貼りのダイニング

『古民家再生』その5

◆広い玄関土間の中に、家を一軒造ってしまった◆

「高富市のY邸では、ご高齢の両親が無理なく生活できるようにリフォームして欲しいという依頼を受けたわけだけど・・・私たちの解決方法は、広い玄関の土間の中に、新しい家を一軒ポコッと造ってしまった(笑)」
「古い部分からあの中に入ったら別世界ですよね(笑)」
「言ってみればワンルームマンション!そういうイメージで造った。でも、玄関へ入った時、屋根の天窓から差してくる光が太い梁を鈍く照らして・・・あれはもう芸術的だね。あの家を壊す気にはなれないね。いらぬ手を加えるのはやめたいと思った。だから、リフォームというより新しい家を挿入するという方法をとったわけです。ただ、あの巨大な家を残して、これからどうするの?と言われても・・・きっとお客様も持て余してしまうと思う。困った話だけど。」

◆お客様のお陰で新しい方法を発見◆

「岐阜市のN邸は、土間(物置)だったところをダイニングキッチンにしましたけど・・・歴史を重ねて黒くなっていた梁をそのままインテリアに生かすように、天井を斜めに張りました。今回補強で入れた梁も古い梁に合わせて古色に塗って・・・今までは物置だったので、お客様はそんな梁がデザインに生かせるものだとは思わなかったみたいですが、逆にそれを強調することで、魅力的なインテリアになったかなと思います。」
「知多市のK邸では床に無垢板を貼ったでしょ?とてもいい感じだと思った」
「新しく入れ替えた柱は、古い柱や梁の色に合わせて塗ったんですけど・・・床に新しく張ったナラのフローリングは、着色するより素材の感じを生かして・・・色を付けずに自然塗料を塗りました。ちょっと水にぬれたような自然な感じで。」
「一宮市のK邸では、リフォームでサイズが合わなくなってしまった建具の板の部分だけを再利用しました。ちょっとしたところですけど・・・最近は、無垢板を使いたいと思っても高価だからなかなか実現できないので。」
「岐阜市のA邸のインテリアについては色々考えた。お客様も迷ってみえたし私たちも初めてのことばかり(笑)。でも、完成した今となっては本当に面白い経験だった。ご主人の考えは、ただ古い物を古く蘇らせても意味がないんじゃないか。次の世代に受け継がせていくためには、現代的要素を加えていくべきじゃないかと。私たちが提案したというより、お客様の方から色々でてきて、それに対してアドバイスをした。居間の壁に大理石を貼る!それも真っ白な大理石を。そんなことしていいの?と正直思ったけど・・・逆にすごくマッチした。シャンデリアもぶら下げたけど・・・ただ、お客様が選ぶ物は、全て手作りの本物だったというところがキーポイントだったんじゃないかと今は思うね。お客様も完成を喜んでくれたけれども、私も新しい方法を発見したという気がして、大変感謝していますよ。」
「工事中は冷や冷やのしどおしでしたけど(笑)」
土間からダイニングキッチンに改装
古材ともマッチしたシャンデリア!

『古民家再生』その6

◆漆喰を塗りなおす再生方法には疑問を感じる◆

「エクステリアで工夫をしたところを教えてください。」
「知多市のK邸は、お客様が居間の南側の窓に太めの格子の引き戸をつけたいと。窓にはアルミサッシが入っているんですが、その外に付けたいと。実際につけてみたら、見た目の印象が全然違うというのか、古民家らしい雰囲気になって、良かったなあと思いました。」
「あのお宅の外壁には何を貼ったの?」
「2階がサイディングの上にリシン吹付けで、1階はガルバリウム鋼板の黒いトタンを張りました。ただ、それだけではちょっと味気ないんで・・・玄関周りに漆喰を塗りました。」
「古民家再生は、構造補強に思ったより工事費がかかるんで、なかなか外壁の仕上げまでお金が回らないのが現実だよね。瀬戸市のI邸も外壁はガルバリウム鋼板だった?」
「K邸の1階と2階が逆転したような同じです。」
「トタンでも、落ち着いた感じに仕上がったと思うよ。・・・古民家再生で、漆喰を塗り直すお宅も多いようだけど、どうかなあ。昔は外壁に漆喰が塗ってあったんだけど、ボロボロになって・・・維持できなかったというケースがほとんどでしょう。だから、もう一度元に戻すのがいいのか?だよね。木材も風化してぼろぼろになっていることが多いから、柱を露出して漆喰を塗りなおすという再生方法には疑問を感じる。柱と壁の間に隙間が開いてくるのは防げないでしょ。それに、断熱は?気密は?と考え出すと、果たして性能は保証できるのかなあ。菅野企画設計で手がけている古民家再生はほとんど大壁、つまり柱を外部に露出させない方法だよね。」
「そうですね。岐阜市のA邸は、お客様のご希望で外壁に特注のタイルを貼ることが出来まして(笑)・・・非常にいい雰囲気です。西側の道を通ると、美術館かな?と錯覚するくらいの外観になってしまいました(笑)。タイルは、色だけじゃなくて風合いにまでこだわられて・・・。」
「あのタイルはモルタル張りじゃなくて、乾式工法ですね。突起付きのサイディングを張ってその上にタイルを引っ掛けて固定する方法だよね。この方法はモルタル貼りより絶対に長持ちするし、汚れも少ない。色は白を希望されたんだけど、漆喰をイメージする白がいいとおっしゃった。普通の磁器質タイルはマンションやオフィスビルのようにテカテカした白色になってしまうから・・・いつも無理を聞いてくれるジョーセンの福岡さんに相談したら、土岐市のケイザン窯を紹介してくれた。そこで、志野焼きで使う釉薬を使ったタイルを作ってもらったんですね。このタイルが本当に落ち着いた白い色で・・・いい感じに仕上がった。」

◆木製の破風板はすぐ風化する◆

「屋根の破風板は普通、木で作りますけど・・・どうしても風化しやすい。そこで風化しにくい材料はないのかと言われて、ステンレスを提案しました。ステンレスの破風も白いタイルにマッチして・・・思ったより自己主張しないんですよ。ヘアライン仕上げにしたので、太陽の光が当たってもそれほどピカピカするわけでもない。いい感じに仕上がったと思いました。」
「ステンレスの破風は、実は、菅野企画設計がお寺でよく採用する方法なんだね。今までの実績があるもんだから、お客様の不安をよそに自信を持って実行した(笑)。予想通り落ち着いた感じになったと思う。木製の破風はどうしてもすぐ風化してしまうからね。大垣市のW邸では、破風板を新しくして塗装をした。ところが完成して2、3年で色が変わってきたらご主人ががっかりして“せっかく綺麗にしたのにもう黒く変色してしまいましたよ”と言われた。」
「それでステンレスに変えたんですか?」
「いやいや、破風を取り替えるなんて・・・大工事になるから、そのまま。・・・木の風化を味だと思ってくださる人はいいんだけど、いつまでも新しい感じが好きな方にとってはちょっとね。だから、お客様の好みをよくお聞きして仕上げは決めるべきだね。」
▲K邸の格子戸
▲I邸の外観
▼ステンレスの破風を採用したお寺