家づくりのノウハウ/フリートーキング

テーマ 「工事」

参加者紹介

賀真田英明 賀真田工務店(一宮市)社長
「住宅の建築は、お客さんの顔が見えて表情がわかる。それに温かい言葉もいただけるので、本当にやりがいを感じます。」
山本健二 サンケンホーム(春日井市)社長
「住む人が満足する家には、いろいろな正解があります。お客さんが喜んでくれる家を一緒につくり出すのが生きがいです。」
菅野良司
高い設計力、気さくなスタッフ育てています。
長井真美
家族のたくさんの「想い」に応えたい。
武田亜紀子
「こんな家にしたい!」
思いをたくさん聞かせて
小栗未麻
こだわりと工夫がいっぱいの家づくりを。

『工事』その1

◆工事会社をお客さんに推薦◆

菅野(以下
「私どもにとって、サンケンさん賀真田さんは大切なパートナーだと思っていますし、これからも続けて工事をお願いしたいと考えていますので、よろしくお願いします。」
賀真田(以下
山本(以下
「よろしくお願いします。」
「実は、以前は設計図ができると、複数の建設会社に見積りをしてもらって、その中から工事会社を選ぶようにしていたんですが、2年位前から工事会社をお客さんに推薦するようにしています。ほとんどのお客さんは、菅野企画設計が推薦してくれる工事会社なら結構ですよとおっしゃってくださるものですから……サンケンさんや賀真田さんを紹介することにしています。このするようになった理由は、特にリフォームの設計を進めながら工事会社の意見をいろいろ聞きたいと思うようになったからです。それに、工事会社の側も、図面を見ただけでは理解できないことが多いからでしょうね?かなり安全側の見積りをされるんですよ。だから、リフォームの場合は複数社から見積りを取ると、かえって見積もり金額が高くなることがわかったんです。それから新築住宅も……菅野企画設計では高気密・高断熱仕様で設計をしていますが、施工の精度が性能を左右してしまうわけです。だから、信用ができる工事会社にお願いしないとだめだなと。……君たちは工事会社を指定するようになったことをどう思ってる?」
長井(以下
「やはり一生懸命見積もってくださるという点がいいと思っています。」
武田(以下
「そうですね。工事金額を減額しないといけないような場合、とても細かく丁寧に対応してくださるし、こうしたらどうかというようなアドバイスもしてらえるので……そういうところはすごくありがたいと思っています。」
小栗(以下
「設計中、一緒に調査に行ってもらって、そこで相談したりもできるので……いいと思います。」

◆喜んでもらえるいい建物を造り上げていこう◆

「設計施工で工事をする場合も多いと思いますが、賀真田さんどうですかね?設計事務所から紹介されて仕事をする場合……これは困る!ということはありますか?」
「困ることはないです。(笑)」
「そうですか。じゃあメリットは?」
「ありがたいと思っていることは、自社では思いつかないとか、まあ時代に沿ったというか……高気密・高断熱※1もそうですけど、設計・施工ではなかなかできないことを勉強させてもらって……それが知識となって、職人にまで行き渡っていくことです。今後私らの強みが増えることになりますから、とてもありがたいと思っています。」
「なるほど。」
「古民家再生の例で話をしますと……建てられてから50年なり70年なり経った建物というのは、現在どういう状態になっているのかがわかりにくいから……工事費を見積もる前に現地を見ることができれば、ここはちょっと湿気が多くて土台がやられているんではないかとか、そういう細かいところまで判断できる。でも図面だけだと、設計図に描かれていないけど多分こうじゃないかなという所があっても、見積りに計上できないんですよね。なるべくミスがないように見積もるんですが……フタを開けて、思ってもいないようなところがあったら……設計の担当の方とお客さんに工事費の追加をお願いするというようなことがでてきてしまう。できるだけそういうことが起きないように、設計段階で協力できることがあるんじゃないかという気はいたします。ですから、見積り金額の競争で工事会社を決めるのは、結局お客さんの負担が大きくなる可能性が大きいと思います。それから、紹介してもらう私どものメリットは、お客様に喜んでもらえるようないいものを造り上げていこう、という共通の目標を設計士さんと共有して工事ができるということじゃないかと思います。」
リフォームの現地調査に設備工事業者も同行してもらえると、すごく助かるよね。※2特に古い家は、電気配線や給排水管がどうなっているか分からないもんね。賀真田さんやサンケンさんがいつも使っている協力業者さんに現況をよく調査してもらって、その結果を反映した設計ができるのは本当にありがたいと思うんですよね。」
「古民家再生をサンケンさんにお願いしたK邸※3は、排水先がどこに行っているのかわかりませんでした。」
「はいはい。東海市のね。」
「想像で図面を描いて見積りしてもらったら……多分、こんな工事はできないと言われたんじゃないかと。あの時は現地でマンホールの深さとか全部測ってもらって……ああいうことをやってもらえば安心できるよね。ただ、予期せぬようなことが起きても、ちゃんと現場を見てもらったじゃにですか!と言えるのは、設計事務所にとってはメリットですが工事会社にはデメリットでしょうね。(笑)」

天体観測所がある家家づくりを楽しむ!主婦室が便利な家―サンケンホーム、賀真田工務店での施工実例明るく開放的なリビングに薪ストーブのある家くねくねの古材を魅力的に!嵩上げ耐震補強をした古民家再生

―設計事務所と工務店
設計図が完成したら、工務店に工事金額を見積もってもらいます。設計事務所は工事金額の概算(予想)は提供できますが、実際に工事するのは工務店ですので、見積書を出してもらい、それをもとに工事契約を結んでいただきます。(⇒家づくりののすすめ方

※1 高気密・高断熱
快適で省エネルギーな高気密・高断熱住宅を実現するには、理論にもとづく設計はもちろんですが、設計通りの性能を発揮するための正しい工事が行われる必要があります。
高性能グラスウールを施工する様子
▲高気密・高断熱を施工する大工さん
※2 事前調査する設備工事業者
現地調査する工事業者の様子 設計の事前調査を工事業者にも同行してもらうことで、工事中での予期せぬ事態を未然に防ぎます。
※3 東海市のK邸
くねくねの古材を魅力的に!嵩上げ耐震補強をした古民家再生
古民家再生したK邸。サンケンホームが施工した。古民家の場合、建物も設備も現代の常識だけでは判断しにくい。

『工事』その2

◆信頼関係があるからこそできる◆

「うちの女性スタッフは、リフォームの減額案※4を作る時、すごくシビアでしょう?」
「嫌ですね~本当に。なんか魔術にかかった感じです(笑)。最初の見積りで、なるべくお客さんの希望に合わせたいと思って減額をぼんとするじゃないですか?それで終わればいいんですが……今度は減額変更案がでて来て、また減案。すると、最初の値引きがダブルで生きてくるんですよ(笑)」
「それは、スタッフの作戦勝ちだね(笑)」
「あれは術にはまったような(笑)感じで。まあお客様の予算があるから……そこに納めようという努力には感心しますよ。えっ、何百円の工事金額まで!?……もういいんじゃないのと言っても、そんなことはないと(笑)」
「先日は、一宮市のK邸で賀真田さんに工事見積りを下げてもらった?」
「まあ、うちが下げたというよりは減額変更で。変更もないのに下げられませんから(笑)」
「でも、信頼関係があるからこそできることだと思うんですよね。菅野さんのところは現場で無理な要求はしないだろうとか、サンケンさんや賀真田さんが減額しても雑な工事はしないだろうという安心感がある。多分、初めてお付き合いする工務店に同じような細かい減額案を提示したら……工務店は逃げ腰になるんじゃないかなあ。逆に、思ったより減額をしてくれたら、今度はこちらの方が不安になってしまうとかね。だから、一緒の仕事をコンスタントにやっていくことが大事だと思うんですよ。常に顔をあわせているという関係が何より大事。現在もどちらの工務店にも工事をお願いしている状況ですよね?」
「はい。」

◆詳細な図面がない場合が結構ある◆

「菅野企画設計とは限らないで……設計事務所と仕事をする場合、何か特別に気をつけていることがあれば教えてほしいんですけど。」
「まあよくある話なんですけど……詳細な図面がないという場合が結構あります。詳細図がないので、よくわからないんですよね。見積りができないから質疑も当然出すんですけど、設計士さんは先生的な感じで……。契約してから、工事業者にいろいろ押し付けてくる。契約の段階で精一杯の工事金額を出しているのに、そういったことが度重なることがあるので、設計士さんのカラーは頭に入れておかないと……」
「正直言って、他の設計士さんがどの程度図面を描かれているのか分からないものですから教えてください。菅野企画設計の図面は問題ないですか?」
「ああ、ないですね。正直に(笑)」
「うん。あれだけ描いていただければ、結構です。やっぱり詳細図は、現場の仕事が分かっていないと描けないので、意匠的なことを優先した場合、まあ逃げるといったらあれですけど……結局、工務店側がこうしたらどうですか?という図面を描くことになります。菅野企画設計さんぐらい図面を描いてくだされば、施工する方は納まり図をちょっと提出させてもらうくらいで……十分です。」
「詳細図は当然描きますけど、スタッフには、使用する製品や仕上材のメーカー名やグレードまで詳細に表記するように指示しています。現状で十分だと言ってもらえて安心しました。」
「設計事務所と一緒に仕事をする場合は、設計士さんの監理のもとでお客様と相談して物事が動いていくというルールを守るように注意しております。以前、武田さんには迷惑をかけたこともありますが……」
「そういえば、賀真田工務店さんに初めて工事をお願いた時、実は以前いろいろなことがあって……設計事務所さんとは仕事しないようにしようと思っていた矢先なんですわと言っていたよね。」
「ああ、とある設計事務所さんですよ。とある(笑)」
「とある?(笑)」
工事監理者※5がみえるわけだから、私ら工務店は、直接お客さんとのやり取りは必要がない訳じゃないですか?本当は。でも、設計士さんが、賀真田さんお客さんにちょっと聞いてきてよとか……そういうことを結構やらされる場合がありまして、そうこうしていると今度は、お客さんが私にいろいろ質問してくるんですよ。そういう時、答えに迷ってしまって、一般的にはですねえとか、言葉を濁すしかなくて(笑)。結局、お客さんと設計士さんの間がぎくしゃくして、逆にお客さんとうちの間がより深まってみたいな感じで、やりにくくなってしまったことがありました。」
「なるほど。」
「3軒工事をやらしていただいて、そのうちの2軒が……(笑)。こうなってくると、もうこれはうちの会社の名前にも関わるなあとね……」

※4 減額案は、工事の見積り金額が予算オーバーしてしまう場合などに、設計内容を見直してつくる案です。設計者のアイディアや工務店の提案等をもとに、出来るだけデザインや性能を損ねない方法を模索します。いわゆるValue Engineering(⇒Wikipedia)。

―工事の見積書
建築工事の見積書
弊社スタッフが、図面を広げ、電卓を片手に、見積書を細かくチェックします。気になるところは工事会社と打ち合わせて、食い違いをなくします。
―弊社が作成した設計図
設計図の例
賀真田社長・山本社長とも、「十分」と評価していただけているようです。スタッフも一安心。
CADで設計図を描く様子
▲詳細図を描くスタッフ。

※6 工事監理者の主な役割は、建築主から依頼を受けて、工事請負契約、設計図書に記された内容のとおりに実際の工事が実施されているかどうかを確認することです(⇒住まっぷ)。
お客様から見れば、工事監理者(設計事務所のスタッフ)を通して要望・質問等をすれば、工事会社と専門的な議論をしなくて済みます。

『工事』その3

◆紹介された業者として恥ずかしくない工事を◆

「菅野企画設計と仕事をする場合に、特に気をつけていることありますか?」
「そうですねえ、やはり紹介していただいている以上、菅野さんの名前に傷がつかないように。普段以上にプレッシャーが大きいです(笑)。紹介された業者として恥ずかしくない工事をするように心がけています。私たちを紹介するということは、菅野さんにとってはハイリスクですもんね(笑)」
「うちが紹介することで、いつもより大きな責任感を持ってもらえるというのは、本当にありがたいことですね。」
「ただ、見積りをしていても、すでに中身が読まれているような(笑)。菅野企画設計の皆さんは、見積書を本当に細かく見るから……賀真田さん前回の見積りと違っていますよなんて(笑)……こんなに細かく見る人たちは、他にはいませんよ。」
「サンケンさんや賀真田さんについては分析表※6を作って、ちゃんとチェックしていますよ(笑)」
「その分析表はマル秘にしといてください(笑)」
「現実に設計の打合せをしていると、この材料をこう変えたら工事費がいくらくらいアップしますか?なんて質問がお客様からどんどんでてくるんですよね。だから、サンケンさんや賀真田さんに工事を任せると決まっていれば、うちのスタッフも正確な情報が出しやすい。」

◆早め早めに見積りを出してもらう◆

「今、揖斐郡のH邸リフォームの工事をさせてもらっていますが……建具は支給しますとか、これのほうが安いからこちらを使ってくれとか、とても要望が細かいですよね。だから、監督の村瀬には、追加工事が生じた場合※7にはその度に、費用がこれだけ追加になりますと見積りを出すように言ってあるんです。そして、追加が了解された場合は、その数字を会議資料の中に入れ込んでいます。ただ先日、ご希望の工事をやるとこれだけかかりますよという見積りを出したら……あの時は担当の田中さんも、皆息が止まっちゃった(笑)。もちろん、うちも精一杯努力をして、最終的に値引きできるところはするつもりですけど……でも、本当に必要なことなんですよね。ちょっとやりすぎじゃないかなと思ったこともあるんですけど、後になって、こんなに追加になるのならやらなかったと言われるよりはいいかなと。」
「私もそう思います。」
「H邸は私も担当していますが、こちらからも、早め早めに見積りを出してもらうように監督さんにお願いしています」
「そうですか。それはありがとうございます(笑)」
「武田君、東海市のF邸はちょっとトラブルになったねえ。工事をしたのは、お客様の希望で地元の工務店さんだったけど……」
「はい、あの時は追加がかなり多くて……結局、その見積りが工事の後になってしまって……こんなに追加は払えないと。」
「お客様は現場が始まると、こうして欲しい、こんな風にできませんか?どんどん言われるでしょう。だから、見積りがなかなか工事に間に合わない。でも、それは本当に危険で、一番トラブルになりやすい。だから、スタッフには必ず工事をする前に見積りを出してもらえと言っています。概算でもいいから、これくらいかかりますがいいですか?と確認してから工事にかからないと……住宅の場合は何万円のことでトラブルになってしまうから。設計事務所としても、根拠も無く、どんぶり勘定で、ただ値引きしてくださいなんて……工務店におんぶに抱っこはやりたくない。工事費の増減は根拠をしっかりするようにスタッフにはいつも言っています。せっかく工事が終わっても、お客様が喜んでくれなかったら全く情けない。」
―フリートーキングの様子
6人の参加者が意見を述べています。
※7 見積り比較
見積分析表の例
弊社オリジナルの分析表を使って、見積書をチェック。

※8 追加見積りは、想定外の工事が発生した時や、見積りの時から設計を変更した場合などに提出されます。工事が進んでくると、「ちょっと変えたい」という気持ちが出てくるかもしれません。そんな時は追加見積りを出してもらって、お財布と相談しましょう。

―見積チェック
建築工事の見積書
もちろん、追加見積りも妥当な金額かどうかチェック。

『工事』その4

◆高気密・高断熱を標準仕様に◆

「菅野企画設計では高気密・高断熱を採用しています。居住性能が大変高い家になるということで、標準仕様にしているんですが・・・気密や断熱工事は、工務店の技量に頼るところが大きいというのが現実です。賀真田さん工事をしていてその当たりはどうですか?」
「まあ、馴れっていうか(笑)。以前、他の設計事務所さんの設計でも何棟かやったことはありましたので。ただ、その時は外断熱※9だったんですけど。」
「サンケンさんは、いかがですか?」
「そうですね。菅野さんの言われるようにやって・・・貫通部分とか注意しなければならない部分の処理をきちんとやっていけば問題ないと。馴れてきました。」
「これは、心強いなあ(笑)。高気密・高断熱仕様はうち以外の設計事務所でも採用しているんですか?」
「いや、こだわりでそれを売りにしているっていうのは・・・。お客さんの方からの要望で採用するケースが多いんじゃないですか。」
「ああ、そうですか。じゃあ、うちの特徴になっているんだ。」
「以前、他の設計事務所のもとで工事をした時は、気密試験をして結果もよかったし、お客様もそんなにコストがかからない割りに冷暖房費が抑えられると気に入られて・・・それで、何件か続きました。」

◆相当隙間面積が3平方センチ以下なら十分◆

「菅野企画設計では外断熱じゃなくて、内断熱※10とシート気密を採用しています。この方法は、壁の中にグラスウールを入れて、室内側に気密シートを張ります。工事のしやすさで言えば、室内が大壁の場合は簡単だと思うんですけど、真壁になると結構手間がかかります。」
「うちは、構造材をインテリアに活かすようなデザイン※11をするから、真壁納まりがたくさん出てくる。そういう意味では、住宅の性能が工務店の技量に左右される。」
「私が入社した当時、菅野企画設計ではすでに新住協に加盟して、高気密・高断熱仕様の住宅を設計していましたが、本格的に勉強して工事をしたのは、2005年に完成した岐阜市のN邸だったと思います。あの時は、お客様が相当隙間面積※12を1平方センチ以下にして欲しいと。」
「そうだったねえ。」
「シビアに気密をとって欲しいと言わたので、会社としてもよく勉強して工事に取り組みました。外壁のボードのジョイント部分にもテープを貼ったり、ビス穴にも気をつけたり・・・もう細心の注意をして取り組みました(笑)。そして、気密試験※13をやったら隙間相当面積が0.3平方センチだったんですね。すごく気密性のある家にはなったんですけど・・・その後、菅野さんや他のスタッフと富山市で開かれた新住協の講習会へ行って話を聞いたら、実際はそこまでシビアに気密をとらなくても十分な断熱性能を得られると。」
「相当隙間面積が3平方センチ以下?」
「そうです。3平方センチ以下なら気密住宅になると。あの話を聞いて、ほっとしました。」
「そうだね。その程度のことなら、今までの工事で十分達成できているなあと僕も確信した。気密試験もお金がかかるので、最近は省略しているけど・・・。賀真田さんが以前工事した時は?」
「やはり0.3くらいでしたね。」
「なるほど。じゃあ、うちが監理して、賀真田さんやサンケンさんに工事をしてもらえば気密性能は大丈夫だね。」
※9 外断熱の施行例
外断熱工事の現場
外壁に貼ったピンク色のボードが、ネオマフォームという断熱材になります。
※10 内断熱の例
内断熱の室内
グラスウール断熱材を充填したら、室内側に気密シートを貼り、室内の気密性能を高めます。気密シートを貼る作業は、慣れていないと手間のかかる作業となります。
※11 構造材をインテリアに活かす
柱や梁を、壁や天井の中に隠さず見せるデザイン。

※12 隙間相当面積とは、住戸全体で1m2当たりにどのくらいすきまがあるかを示すものです。数値が小さいほど気密性は高くなります。(⇒快適な住まいと生活Q&A

※13 気密試験の様子
気密試験の様子
工事途中と完成時の二度行いました。
表示された気密試験結果。
▲試験結果。隙間相当面積(C)の数値は、0.3cm/m2です。

『工事』その5

◆床下の空気が壁の中に入らないように◆

「内断熱では、壁の中に断熱を入れて室内側に気密シート※14を貼ってますけど、外断熱の場合、気密シートはどうすればいいんですか?」
「外断熱だったら、室内側には気密シートはいらないですね。」
「だけど、外に断熱材を張って……隙間は?」
断熱材のジョイントに全部テープを貼って※15、それで気密をとるんですよね?」
「その代わり、基礎断熱※16をする必要がある。」
「はい。」
「そういうことだね。」
「家を全部断熱材で囲わないと……」
「内断熱では壁の中にグラスウールを使うことが多いので、室内側に気密シートを張らないといけない。グラスウールの中に室内の湿気が入ったりしたら、内部結露をする可能性があります。気密シートはそれを防ぐ役目も持っています。外断熱に使う断熱材はボード状で、内部結露を起さない素材なので、室内側の気密シートはいらないということです。」
「先日完成した一宮市のK邸リフォーム※17は、外断熱を採用したの?」
「そうです。ただ、外断熱でも、内断熱でもうちの事務所としては、床下の空気が壁の中に入らないようにしています。」
「なるほど。ただ、新築の場合は高気密・高断熱が理論的に完結するんだけど、難しいのはリフォームや古民家再生の場合。全体を改修する場合はいいけど、部分的なリフォームの時はどうするのか?どうせ完璧に出来ないのなら今までのままでいいや、では隙間だらけになってしまうから、いろんな方法でクリアしていくんですけど……確か小牧市のO邸※18のリフォームでは内断熱で気密シート。一宮市のK邸※17では外断熱。岐阜市のM邸(⇒実例集)は外断熱?」
「はい、外断熱です。」
「リフォームの場合は外断熱が一番やり易いのかな?」
「それより外壁が土壁だったので。小牧市のO邸※18は土壁じゃなかったですよね?それに外壁は改修しないということだったので室内側から工事をした、と聞いています。K邸やM邸は外壁を改修したいということだったので、外断熱にしました。」
「ただ、K邸※17でも家全体を改修したわけではないんだけど……お客様の感想は?」
「リフォームした食堂はエアコンの効きがいいと、お客様は喜んでいらっしゃいます。」
「瀬戸市のI邸(⇒実例集)も、家の半分をリフォームしたんだよね?」
「はい、そうです。外壁は全部張り替えましたけど……リフォームしたリビングの暖房をつけると家全体が暖かいって。」
「東海市のK邸は、まだ基礎断熱を採用していなかった頃なので、床下換気※19をしましたが……床が冷たいって言われました。」
「床下の断熱には何を使ったの?」
パーフェクトバリアです。」

◆夏、2階が暑いのは換気のせい?◆

「新築住宅の場合、高気密・高断熱に対する反応はどうですか?」
「やはり、皆さんに評判がいいと思いますね。」
「2003年に完成した一宮市のM邸※20は、家の真ん中が大きな吹き抜けになっているんだけど……真冬の一番寒い時でも家の中の温度が13度以下に下がりませんよとお客様が教えてくれた。実は、設計した時はまだ確信がなかったんだけど、あの話を聞いて、これからは高気密・高断熱だなと思ったんです。ただ、高気密・高断熱の家でも夏、2階が暑いね。これは、温度の高い空気が2階に上がるという性質から考えると当たり前なんだけど……どう?」
「そういう苦情は、今のところないですねぇ。」
「本当?じゃあ、換気の問題かなぁ?」

※14 気密シートは、空気・湿気を遮断するためのフィルム状のシートです。断熱材の室内側に貼って、断熱材が湿るのを防ぐために使われます。断熱材の内部で結露すると、断熱性能が低下し、長期に渡ると周辺部分にも悪影響が出てきます。(⇒製品例

※15 外断熱のジョイント
http://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/neoma/wood/about.html 外断熱の場合、気密シートは貼らず、ジョイント部分を気密テープで塞ぎます。
※16 基礎断熱
床下の空気を保温するために、基礎の外周に断熱材を巡らせます。
※17 一宮市のK邸
リフォームで外断熱にしました。
※18 小牧市のO邸
内断熱+気密シートで高気密・高断熱にリフォームしました。
※19 床下換気
http://www.fukuvi.co.jp/product/032.php?st=category&v=&cn=1&c1=2
基礎断熱をしない場合(床下断熱の場合)は、基礎と土台の間に隙間をつくり、床下の通風を確保します。基礎断熱の場合は、逆に気密パッキンを使って外気を遮断し、床に換気口を設けて室内の空気で換気します。
※20 一宮市のM邸
大きな吹き抜けがあっても、高気密・高断熱住宅なら家全体が快適!

『工事』その6

◆自然素材を使えるのはありがたい◆

「菅野企画設計では、できるだけ自然素材を使うようにしているんですが……工務店さんとしては、どう思われますか?」
「手間がかかるのは事実ですけど、自然素材が使えるのはありがたいと思います。」
「サンケンホームさんに初めて工事をお願いしたのは、2004年に完成した名古屋市のI邸ですよね。あの頃はまだ、節のあるような無垢板は使い馴れていない様子でしたが……」
「そうですね。板は綺麗なものだけを(笑)」
「特に名古屋の方は、長い間、節板をゴミだと思っていた(笑)から仕方がなかったと思いますよ。現在の入手方法は?」
「以前と同じです。こちらが指定したものを、より安い材木屋さんから入れています。」
「賀真田工務店さんは、以前から無垢板をよく使っていたんですか?」
「まぁ、お客さんが要望されれば、ですね。」
「でも、賀真田工務店のショールームは、無垢板をふんだんに使ったインテリアじゃないですか。」
「そうですよね。」
「まぁ、ああいう家を造るようなお客さんがいないかなぁ、という願いもこめて(笑)……機会は少ないですけど、造りたいですねぇ。」
「ということは、うちのデザインは、賀真田さんとしてもやりたい方向だと。」
「そうですね。勉強にもなりますしね。若い監督からすれば、メーカーの番号で選ぶような材料じゃないから、自分で加工図を描いたり……」
「珪藻土もよく使うよね?あれはどうですか?」
「いいですねえ。でも、単価的には、なんで!と思うくらい高いから……もうちょっと競争して安くなってもらえば助かるんですけど。素材としては、無垢の板と珪藻土※21で室内を仕上げるというのは非常にいいんじゃないですかね。」
「賀真田さんも同じ考えですかね?」
「そうですね。」

◆使える板は、だいたい8割◆

「以前岐阜で造った病院は、室内がほとんど白木、外壁も木という建物でした、まあその感じがすごくよかった。多少やせがくるから、ちょっと隙間があいたりするんですけどね。先日造った福岡の別荘も、ほとんどが白木丸出しなんですよ。私も綺麗なものより素朴な建物が好きなんです。お客さんが自然で無垢な表現を分かってくれれば、こんなにいいことはないんじゃないですかね。」
「名古屋市内で鉄骨造の住宅を造ったんですが、リビングを斜め天井にして杉板を貼ってもらったんですよ。ところが、杉の節板の質が相当悪かった。杉板の中には、赤味と白味がきたなく混じりあっているものもありますし、黒ずんだような色の節も結構あるから。何も考えずに貼ってしまう無神経さにはがっかりしました。工事会社には苦言を呈したんですけど……でも、杉の節板張りには違いない。賀真田さんやサンケンさんにやってもらえば、そういう問題は起きない。いつも、大変気を使ってくれているんですよね(笑)」
「やはり自然のものですから、反りなども出ますしね。そういう板をハネて、使える板は大体8割、2割くらいは使えないという考えでいます。」
「無垢板を使うデザインをお客さんは喜んでくださっているのかな?」
「肌触りがいいとか温かみがあるとか、喜んでみえますよ。床板に関しては、特に。」

※21 珪藻土は、昔からその高い保温性と程よい吸湿性を生かして壁土に使われていた。近年、自然素材への関心が高まるとともに、壁土への利用用途が見直され脚光をあびている。漆喰に類似した外観に仕上げることができ、プロでなくとも施工しやすいため、DIY向けの建材としても販売されている。(⇒Wikipedia

―珪藻土を塗っている様子
▼珪藻土のテクスチャー
▲珪藻土と無垢材で仕上げた玄関ホール
▼杉のフローリング。色味をそろえて貼りました。

『工事』その7

◆無垢板を外壁に張ったら?◆

「これから使ってみたい素材は何かありますか?」
「私は、外壁に工業製品でないものをもっと使いたいです。無垢板とか……。予算の問題があるのでなかなか使えないですけど(笑)」
「メンテナンスの問題もあるんですよね。ある程度手入れしないといけない。」
「そうですね。特に板は割れたり、反ったり……実は、私の家も以前は外壁に杉板を張ってあったんですけど……直射日光が当たる部分の板は反ってしまって、結局タイル張りにしました(笑)。ただ、全部タイル貼りというのも寂しいので、南側だけ板を張り替えましたけど、厚み15mmの板にしました。通常使う10mmより少し高くつきましたが……。だから、無垢板を外壁に張るというのは、いろいろな問題があるので、お客様が納得している必要があると思いますね。最近、外壁に珪藻土塗っている家をよく見かけるよね?」
「珪藻土ですか……?」
「ヤブハラのケイソウウティカとか。」
「庇のない壁に珪藻土を塗るようなデザインの家、近所でも見かけるよね。ただ、私は正直感心しない。」
「屋外に珪藻土※21を塗るというのは……やはり、リスクが高いですよね。」
「同感です。」
「水を弾く力がないから、汚れがすぐついちゃうんですよね。」
「それに木造の建物は、風や地震の時振動しやすいから、塗り壁で仕上るとヒビが入りやすい。いくら珪藻土に接着剤が混ぜてあるといっても、やはりヒビは入るし、そこから水が滲みる。もし、庇のない家だったら……壁の中は、とんでもないことになる。庇のない家はお勧めしないけれど、どうしても造りたいなら、あまり珪藻土や自然素材を使わない方がいい。工務店側にもリスクがあるしね?」
「目地も、ない方がいいという要望が時々ありますけど……。」
「ああ……。そういえば賀真田さん、この近所に造りましたねえ。実は、あの家の近くを通るたびに観察するようにしているんですよ。どうやって目地を無くしたの?」
「あの建物は鉄骨造で外壁はALCですね。」
「ALCですか。木造でも最近目地のない家を見かけるけど、ああいうデザインはどう思う?」
「目地は90cmピッチで入るより180cmぐらいのほうがいいなあと思います。全くないことまでは求めませんが。」
「目地というのは、外壁の微妙な変形をそこに集中させる役目をしている。その目地がないというのは、変形の逃げがないということだから、ちょっと恐いよね。」
「名鉄の駅の近くで、目地のない建物を造ったんです。僕が担当で。恐くて近くに行けないです(笑)」
「やはり目地はとるべきだと思うね。」

◆自然素材で造っても坪70万円◆

「今日、事務所の仲間から、国内でも結構石が取れるんだよということを聞いたので、石も使ってみたいなと思います。ただ、金額が気になりますが。」
「どこの石ですか?」
「岐阜県中津川市の蛭川(ひるかわ)です。私と野村が石切場を見学※22に行って、その様子をスタッフみんなに報告したんです。」
「あれは御影石ですよね。先日、実家の玄関に自分たちで石を貼ったんですけど、時間がなくて、できるだけ早く欲しかったんです。2週間待ってもらえば安い国産の石が手に入ると言われたんですが、急ぎなら中国産の倍の値段になるって(笑)。結局、中国産にしました。国産材を出来るだけ使いたいと思いますけど、どうしても値段が……。」
「この中部地区は、自然素材に関しては宝庫ですよね。木も紙もあるし、土、瓦、どれも高品質。だから、ついつい贅沢になっているけど、沖縄で家を造った時なんか、ヒノキの切れ端をみんな拾っていくんですよ。ヒノキだヒノキだと言って。柱は全てヒノキを使ったんですが、どうも実感が湧いていないみたいでした(笑)。以前、大阪のお客様に5寸角(15cm角)の柱を使いましょうか?と言ったら、今時そんな木はないから、当然貼り物ですよねって言われました(笑)」
「そうなんですよね。」
「この辺の方は、自然素材を使っていますと言っても、ああそうですかで終わってしまうけど……とても贅沢なことだと思いますよ。それでいて、そんな家の坪単価が高くないですよ。そりゃあ、タマホームと比べると話になりませんが……設計料込みでも坪70万円いくかいかないかで造ってるわけでしょ。これだけの家を。本当に恵まれた環境に住んでいると思いますねぇ。」
外壁の板を貼る工事
▲外壁に桧板を貼っている様子
外壁の腰壁にタイルを貼った建物
▲腰壁にタイルを貼った例
▼珪藻土は、調湿作用の効果が大きく、室内にはよく使用します。わざとコテむらをつけデザインもします。
内壁の左官工事
※22 中津川の石切場
岐阜県中津川市蛭川の採石場
石貼りの外壁を工事中
▲成形しないで、外壁に石を貼った例
▲国産の木材をたくさん使用した例

『工事』その8

◆現場で木材を加工できる大工が必要◆

「菅野企画設計は木造住宅を在来工法で設計しています。つまり大工さんの造る家ですよね。工務店として大工の質を保つために何か工夫していることはありますか?」
「うちの場合は、大工にしても左官※23にしても建具屋にしても、大体同じ仲間が一緒に動いているんですけど・・・・・・今は大工や左官、そういう技術を持つ人の育成ができる環境が少ないから、いつまでできるんだと考えると、やはり心配ですね。だから、技術を生かせるような仕事が途切れないように、そういう物件を継続していかないと・・・結局、みんな食べていくために働いておるわけですから。仕事が簡単な方にいってしまうと、元に戻すのは難しい。若い者は、いい物件に携わって覚えていく、技術というのは盗むしかないわけですから、やはり経験を重ねていくしかない。そう考えた場合、一軒でも多く、在来工法のちゃんとノミやカンナを使うような仕事をさせていただきたい。ちゃんとした仕事が育成につながると思うんです。」
「なるほど。賀真田さんはいかがですか?」
「うちはもう決めているというか……信頼できる人はAランク、次がBランク(笑)。在来工法の場合、特に走ることをしない、自分にプライドを持った人を使うようにしています。ただ、ご指名いただけるタイミングで、なかなか人選が噛み合わないときも実際はあるんですけど……うちだけの仕事で大工さんが動いているわけではありませんのでねぇ。でも、私は推薦できる職人だけを現場に入れるように心掛けていますよ。」
「なるほど。」
「ただ、左官屋さんにしても、最近の住宅工事では外部の巾木ぐらいしか仕事がないという状態なので、だんだん減少しています。仕事があっての職人さんですからねえ。ここ5年くらいで高齢になって現場から去る職人がたくさんでてくるんじゃないかと。」
「そうですか。」
「ええ、大工さんでも60歳に手が届く人たちばかりになっていますので……若い世代もいますが、技術的にはまだまだ……経験が少ない。」
「でも、リフォームや古民家再生では、木材を工場で加工してきて現場でトントンはめるというわけにはいかないでしょう。やはり、自分で墨付けして、木材を加工してくれるような大工さんがいないと困るよね。中途半端な工事会社にリフォームを頼む人が多いようだけど……以前、ひどい大工さんに当たったことがある。柱と梁を金物だけでくっつけてしまった(笑)。お客さんから電話がかかってきて、最近の大工さんはほぞも掘らんのですねえ?だって。驚いて現場に駆けつけて、加工を一からやり直してもらった。」
「今工事中の揖斐郡のH邸でも、柱を継ぎしましたよね。ああいう場合にはそれなりの“継手(つぎて)”※24があるんですよね。最近は何でも両方から添え木して金物で留めて、ということになる。そりゃまあいろいろな方法もあるんでしょうけど……ただ、補強が見えてはいけないところは、やはりそういう技術が必要になる。」
「そうですよね。」
「だから、大工に経験を積ませることが大事なんですよ。」

◆ハウスメーカーの下請けは切り貼り大工◆

「なるほど。この辺りでもハウスメーカーの家がどんどん増えていますよねえ、これからどうなるか分かりませんが……大手のハウスメーカーは型式認定という構造で造っています。メーカーが考えて、実験して……これなら大丈夫だと国土交通大臣が認定をするわけですが、その技術を彼らは公開しない。お客さんに構造図も渡さないでしょう。型式認定といってもルールがあるだけで、一棟一棟の強度を構造計算しているわけではないですからねぇ。もし、メーカーが無くなったら……実際、以前リフォームしたF邸はハウスメーカーで建てた家だったけど、もう、その会社は無くなっていた。そうだったよねぇ。」
「はい。どの壁が構造上必要なのかわからなくて、本当に困りました。結局、構造には手をつけないでリフォームしました。」
「だから、型式認定なんてとんでもない制度だと思うんですよ。在来工法※25だったら建築基準法で構造計算の方法を定めているわけですから、建築士だったら誰だって構造がわかる。ところが、メーカーがクローズしてしまった技術は、外部の人には全くわからない。迂闊にリフォームができない。ちょっとおかしな話だと思うんですよ。日本には優秀な大工さんがたくさんいるし、技術を伝承してるんだから、家は在来工法で建てるべきだと思いますよ。」
「ハウスメーカーの下請けをやると、切り貼り大工になっちゃうんですよ。ボード屋さんか大工さんか分からない状態になってしまう。」
「そんなことでは本当にもったいないと思う。私たちが造る家のシェアがどんどん伸びていけばいいと思うんですけどね。山には木がふんだんにあることだし(笑)」
▼住宅を建て起している大工さん
※23 左官屋さん
建物の壁や床、土塀などを、鏝(こて)を使って塗り仕上げる職種のこと。⇒Wikipedia
▲古民家再生の現場で木材を加工する大工さん
※24 継ぎ手
大工の世界では、いろいろな継手・仕口が伝承されています。メディアでもおなじみですね。写真は、リフォームで柱を継いだ部分です。しっかりとした継手・仕口を加工するには、高度な技術が必要です。
※25 在来軸組工法
木構造の構法の一つで、日本で古くから発達してきた。木造枠組壁構法がフレーム状に組まれた木材に構造用合板を打ち付けた壁や床(面材)で支える構造であるのに対し、木造軸組構法では、柱や梁といった軸組(線材)で支える。⇒Wikipedia

『工事』その9

◆向上心を持っている人たちと家造りを◆

「設計士としては、どんな職人さんと仕事したいですか?」
「リフォームや古民家再生では現場での手加工が必要になってくるので、そういう技術を持った大工さんですねえ。今、揖斐郡のH邸のリフォームをサンケンホームさんにお願いしていますが、私が大工さんに指示する方法より手間のかかる“継手”や“仕口”を提案してくれるんですね。それは手間がかかるから他の方法でもいいですよと言っても(笑)。まだ、こういう大工さんがいるんだなってうれしいし、頼もしく思いますね。それから、これは私たち設計士もそうですし現場監督も職人さんも同じですが、ちょっと変わったことを楽しんでやろうという意識や向上心を持っている人は、一緒に仕事をしていて楽しいかなと。」
「私たちは設計士だから、造り手しか分からないことや造り手からの提案とか……いろいろな方法を教えてくれるとうれしいなあと思います。それから、無垢の板を使う時には、節とか色むらとかいろいろ気配りしてくれるような大工さんだといいなぁと思います。」
「以前お寺の設計で、丸柱と鴨居の納まりを描き間違えて……大工さんに現場でこれおかしいんじゃない?というアドバイスをしてもらいました。図面に描いてあることを鵜呑みにしない、そういう大工さんがいてくれて助かりました。」
「あの時は大騒ぎをした(笑)。危機一髪!私も現場に駆けつけて、事無きを得た(笑)。そんなこともあったね。」
「はい。」

◆在来工法の設計を続けていきたい◆

「私は大変不器用な人間で、正直日曜大工もできないんですけど(笑)。家造りほどおもしろいものはないらしいねえ。職人さんたちに聞いてみると皆そう言う。だから、これで生活できればこんなに楽しいことはない。ずっとやって行きたいと。ところが、なかなか仕事がない。ハウスメーカーの家がどんどん増えてきて、面白くない仕事ばかりやらされる。だから、だんだん気が萎えてきて、生活のために仕事している状態になってしまうらしい。やはり物造りが好きで職人になっているんだから……小学生にアンケートを採ると、大工になりたい子供が多いと聞いたけど。」
「テレビの影響ですかねぇ。ビフォーアフターとか?(笑)」
「なるほど。私たちも出演できたらよかった?でも、あれは張りぼてだから……。うちのスタッフは在来工法が好きで、柱や梁がそのまま見えて、それでも居心地のいい家を一生懸命追い求めて設計している。造る側は大変だと思いますけど(笑)。ひとつ間違うとえらいことになるから、まあ皆が緊張して造る必要がある。上から何かを張って隠せばいいやでは済まないよね。サンケンホームさんに工事をしてもらった古民家再生でも、この柱、この1本がなかったら大変!という柱があったじゃないですか(笑)。」
「そうですね。壁を取ったら……この柱、穴だらけだよとか言って(笑)。いろいろ見栄えよく補強して、それが逆にお客さんに喜んでもらえました。」
「皆で苦労して……苦労してというより、どうしよう、こうしようと頭を悩まして考えたことを後でお客さん喜んでくれたり、それが結構うれしい。こういう経験は在来工法しかできない。ツーバイフォーは合板をどの壁にも貼ってしまうから、そんな工夫ができない。そう考えると、やはりこれからも在来工法の設計を続けていきたいと思いますね。」

◆木材の納入業者は?◆

「うちは柱や梁を室内に見せる設計をすることが多いので……設計図では木材の等級が特一等材と書いてあっても、あまり悪い材料も使えない(笑)……木材の納入業者はどのように選んでいますか?」
「木材はうちの会長のこだわるところですし、今も元気にやっていますので、賀真田工務店ならこれくらいの木材だろうと感じとってくれるところを使っています。……過去に変えた時期もありましたけど。やはり変えない方がいいという意見が多かったんで。」
「岐阜市のM邸はどうだった?」
「いい木材でしたよ。逆にいい材料過ぎて(笑)。」
「菅野企画設計さんとは、あの仕事が初めてでしたよね?まあ、2ランクぐらいあげて(笑)……そんなことはないですけど。」
「サンケンホームさんはどうですか?」
「材木の納入は2社をメインにしています。」
「小牧市のO邸は、無垢の木材をたくさん使いましたよねえ。可児市のM邸も。」
「はい。間伐材や針葉樹の床板みたいな特殊な木材も多かったので……よく説明して、安く入るほうで。」
「うちとしては、イメージしたような材木が現場に入ってきているという感じですねぇ。杉の節板というと、節板には違いないけど、ちょっとガッカリするようなものを持ってくる業者もあるので、賀真田さんもサンケンさんも大変気を使ってくださっていると感謝しています。」


▲現場で加工する大工さん


▲丸柱と鴨居の収まり


▲木材の納入業者での木材検査の様子


『工事』その10

◆無垢材の建具は作り甲斐がある◆

「建具屋さんは、家のでき栄えに相当大きな比重を占めてると思うんですけど、それにしては、町なかに建具屋さんを見かけなくなりました。協力業者はどうやって決めているんですか?」
「もうそこしかないっていう感じですね。」
「その建具屋さんなら無理を聞いてくれるというか、一生懸命やってくれるというか……。」
「そうですね。一生懸命やってくれますね。」
「うちの設計では無垢材を使った建具も多いでしょ。建具屋さんの反応は?」
「喜んでくれていますね。」
「喜んでいる?」
「はい。やりがいがありますからねぇ。」
「合板のフラッシュ戸ではやりがいがない?」
「はい。そんな仕事ばかりですから、たまにはいい仕事がないと。」
「菅野企画設計の仕事はたまの仕事ですか(笑)」
「そう言えば、今日も長井さんからFAXが入ってましたよね。建具の。」
「ああ、框戸の(笑)」
「障子や雨戸が無くなって、ガラス戸がアルミサッシに変わって、今度は室内まで既製品が多くなって……建具屋さんは本当に続けていくのが大変な状態だと思うんですよね。うちがいつも頼んでいるところは、展示会に自分の作品を作って出したり、いろいろ研究して腕を磨いているんですけども、今はお父さんと息子さんが2人で建具を作っています。息子さんが45歳ぐらいだと思うんですけど、そういう建具屋さんでも、じゃあその次は?と言ったらどうなるのかなと思うんです。今は、図面でデザインを指示してもらえば、こうしてああしてと一生懸命作ってくれるんですけど……その後が残っていけるのか?育てるというより、職種が残っていけるのか、とても心配ですね。」

◆若い人が左官仕上げに興味を持っている◆

「左官屋さんはどうですか?」
「左官屋さんも決まっています。何故決まっているのかといいますと、やはりテクスチャーといいますか、柄とか仕上がりの表現は、お客さんによっていろいろ好みがあるじゃないですか?そういった要望にも嫌な顔をせずに付き合ってくれたりとか、そういう人間性ですね。」
「ああ、そうですね。」
「社長もずっと仕事を見ていましたよね(笑)」
「塗り壁は社長の趣味でもある?(笑)」
「実は(笑)。……意外と奥が深いですねえ。去年の暮れも、現場で僕が1回塗って見せて……もちろん、失敗しても差し支えのない壁でやっていますよ(笑)……それを見本にしてくれと。左官屋さんはいつも困っていますよ。そういう表情はなかなか出せるものじゃない。素人の方が逆に思いきったことができるから……プロは綺麗に仕上げるという意識が体に染み付いているので、柔軟にできる人って意外と少ないですよ。店舗工事屋さんなら手早くできるかもしれないけど。」
「綺麗に仕上げるのが習慣になっているということだね?」
「そういう癖がついてしまっていますねぇ。そんなに綺麗に仕上げなくてもいいと言うと、ええ?って。何回も言えば、できるようになりますけどね。」
「サンケンホームさんはいかがですか?」
「そうですね。最近は、左官屋さんの仕事が珪藻土のパターンをつけるとかに変わってきているから、鏝で綺麗に仕上げる技術を覚えてきた人には、ねえ。でも、パターンの見本を作ってやれば、腕はあるんだから。時代の流れを徐々に覚えていって。」
「昔で言う“腕の見せ所”が、逆になくなっちゃたんだねぇ。」
「そうですね。昔の“ごまかし”が今では“表現力”といいますか……。」
「そうそう。仕上げをしない方がいい。途中でやめておけと。確かにそうだね。でも、左官仕上げについては、驚くほど若い人が興味を持っているよね。私たちが若い頃は本当にひどい時代で、インテリアはクロス貼りばかりだったから……逆に、若いスタッフの方が左官のテクスチャーに反応するよね。菅野企画設計の事務所の壁も火山灰で作った中霧島壁が塗ってありますけど。こういう仕上げがとても素適だというお客様も増えてきたので、左官屋さんの将来は明るいんじゃないかと思いますが。」
―菅野企画設計で設計する建物の多くは、建具を1本1本デザインして製作します。
▲わざとムラを付けた左官仕上。
▲事務所の壁を仕上げている様子。細かな櫛でテクスチャーを付けました。

『工事』その11

◆地盤補強は10年保証の範囲外!◆

「地盤改良の保証のことが問題になっていますよね。設計事務所としても頭が痛い問題で。品確法の10年保証の中に地盤補強は入っていない。賀真田工務店さん、そうですよね?」
「そうです。」
「ただ、柱状地盤改良※26とか表層改良でたくさんトラブルが起きていて……最近、事務所のスタッフで勉強会をしたんですが、確かにいろいろな問題が起きている。土質によっては地盤改良の強度が全然出ていなかったとか。いくら保証範囲に入っていないといっても、地盤のトラブルは深刻ですが……。」
「そうですね。だから、第三者機関で地盤保証をつける方法があります。その場合は、保証機関が認定している地盤調査会社に調査をしてもらいます。その結果から地盤補強の方法を選択して、工事も認定工事店で行なう。そうすれば10年保証もつけれますよと。」
「ということは、工務店としては保証の範囲外だけど、第三者機関が介入すれば地盤保証がつけられるということですね。しかし、それはオプションだと。」
「そうですね。」
「つまり、保険料が発生するということだね。」
「だから、設計時に地盤調査をする場合には、保険に入るかどうかお客様に確認して……もし保証をつけたいということなら工務店が使っている保険法人の認定している調査会社に依頼する必要があります。」
「実際にそうしているの?」
「はい。先日完成した江南市のS邸※27はそうしました。」
「NPO法人の住宅地盤品質協会の場合、1物件の限度額は5000万円だと聞いたけど」
「そうですね。ただ、保険料も保証内容も保険法人によって違います。」
「地盤補強のトラブルで不同沈下なんて起こしたら大事だよねえ。建物を持ち上げてやり直すなんてできないから……。これからは、お客様に保険に入ってもらうようお願いする必要がある。工事金額に入っているのに、地盤補強工事だけは工事会社の10年保証に含まれていないなんて、ちょっとお客様には理解できない。事前によく説明して、お客様にも共通認識をもっていただかないとまずい。」

◆地盤については調査、補強方法、保険……と、なかなか難しい◆

「最近気になっているんですけど……住宅を建てる時、表層改良とか柱状地盤改良をするじゃないですか。でも、将来その家を壊して建て直す場合、改良した部分の処理はどうなるんでしょう。全部取り除く必要があるのか?5年や10年したら、そういう問題が出てくると思うんですよね。」
「現在でも、鋼管杭※28とかPC杭は除去しないと、その土地は売れないんでしょ?現場打ちのコンクリート杭は土状汚染になるというので、砕石を使った杭もありますよ。それは液状化の対策にもなるし、砕石なので埋めたままでいいと。」
「ああ、私も聞いたことある。」
「結構この辺りでも実績があるみたいです。先日も名古屋市郊外で新築住宅の相談を受けたんですが、相当地盤が悪くて……。少し高いですが、そういう地域なら有効かなと思いました。」
「地盤補強をするのはいいけど、建て替える時のことも考えないとね。」
「なるほど、そういうことはこれから、大きな問題になるかもしれませんねえ。15年前だったら、住宅の基礎を杭で補強したり地盤改良をするなんて、正直考えもしなかった。地盤が悪いのならベタ基礎。それをやっておけば問題なしと考えていました。でも最近では、相当神経質に地盤補強をするようになって……。でもねえ、地盤調査はどこまでやるべきなのか?リフォームや古民家再生では地盤補強はしなくていいのか?なんて話もある。土の中は見えないので……判断が難しい。」
「先日勉強した事例の中に、細長い敷地でボーリング※29を1ヶ所だけ行なって地盤補強をしたら、部分的に予想より地盤の悪いところがあって……そこが沈下した。そんな話もありましたねぇ。」
「そうだったねえ。でも、リフォームや古民家再生の場合は、以前からそこに家が建っていたんだから、新たに沈下するなんてまずないでしょう。ただ、地震の時にどういう揺れ方をするのかは分からない。そこで、菅野企画設計では、建築基準法の1.25倍の筋交いを入れるようにしています。建物を移動して地盤補強なんて、とんでもなくお金がかかるから現実的じゃない……地盤については調査、補強方法、保険そして将来生じる処理の問題となかなか難しい。今後、お互いに勉強していく必要があると思っています。」
※26 柱状地盤改良
その名の通り、柱状にを作る工法です。ある程度の間隔で穴を堀り、セメントを流し込んで支持体をつくります。(⇒「柱状地盤改良」を検索
※27 S邸地盤調査の様子
※28 鋼管杭
地中に打ち込む鋼製の杭のこと。施工後は、鋼管の中にコンクリートを注入する。⇒Wikipedia
※29 ボーリング調査
実際に穴を掘って土の状態を確認する地質調査。(⇒「ボーリング調査」を検索

『工事』その12

◆“手作業の壊し”の見積りは難しい◆

「リフォームと古民家再生の見積りについて、話を聞きたいと思います。まず、壊す部分の見積りですけど……」
「壊す部分ですよねえ?リフォームでは、壊す部分とそうじゃないところ、傷をつけてはいけないものとかがありますので、全て手作業。機械ではできない……非常に難しいんですけど、仕事に必要な人数と日にちをだいたい想像して。」
「最近は馴れてきた?」
「……いや、馴れないですねえ。でも、だいたいこのぐらいはかかるだろうと。」
「大掛かりな仕事は解体屋さんに依頼して、その後は大工さんと片付けの人を頼んで少しずつ……そのあたりを分けながら見積るんですけど、絶対間違いないという計算はちょっと……非常に難しい。手作業だからねぇ。機械で解体できれば楽なんですけど。だいたいは、ちょっと無理したかなという見積りになってしまう(笑)。でも、私どもも結構古い建物をリフォームしてきているから、解体屋さんが出してきた見積りに対して、このくらいでできるんじゃない?というような交渉をして、見積り金額を入れさせてもらっています。ただねえ、廃材は分別してから処分でしょう?解体屋さんもそうだし、大工さんが壊しても……そういう部分が最近は大変になっていますねぇ。」
「武田君どう?見積書を分析してみて……。」
「そうですねぇ。リフォームの見積りでは、解体工事費が計上されているのに、木工事の中に処分代とか壊し代が計上してあったり……かなり重複しているような印象を持ちますねぇ。」
「その辺りですね。解体屋さんに任せる部分は、解体工事費で計上するんです。でも、工事を進めながら壊していくような仕事は、どうしても他の項目に計上しておかないと……壊す人が違うんですよ。」
「なるほど。」
「そういう細かい壊しまで解体工事費にオンしていくと……実は、そちらの方が手間がかかるから。細かい壊しの方が。だからそれを分かりやすくするために、別計上する場合があるんです。」

◆リフォームの大工手間は、あまり削れない◆

「リフォームの場合、大工さんの手間はどうやって見積もっていますか?」
「これもまた難しいですねぇ。新築とは違いますから。リフォームというのは、大工さんの手間だけで言うと3割増しぐらいは実際かかります。それに、それなりの大工にしかできない仕事が多いので、その場その場で判断できるベテランを使う必要があります。だから、大工さんの手間賃はあまり削れないと考えています。」
「確かにそうだね。先日完成した一宮市のK邸でも、柱が湾曲しているのに腰壁が綺麗に納まっていた。そういうところは、現場で丁寧に加工してくれたわけだから……手間がかかるというのは理解できる。」
「あのお宅では、絶対柱に傷をつけないようにとか、釘を打ってはいけないと注意されていたので、特に緊張して(笑)」
「それにしても、腕のいい大工さんだと感心しましたよ。」
「実際、加工屋に出したものは、そのままでは使えないですからねえ。現場で削ったりして……かなり時間がかかるんですよ。」
「正直なところリフォームの場合、自分の家に愛着のある方の仕事をさせていただきたいと思いますよね。新築より工事費が安いでしょう?という感覚だと、ちょっと間違ってしまう気がする。家に愛着がある方は、こちらが手間をかけただけ喜んでくださるもんね。」
「リフォームの大工手間を見積りする時は、全体でどのくらい手間がかかるのかを考えて、面積で割ってm2単価を出していますけど……そのベースは新築です。新築の場合は大工の手間を、建て方、屋根下地までの単価、その後を造作手間の単価という分け方をしているので、それを利用して。」
「菅野企画設計が賀真田工務店とサンケンホームをこうやってご紹介するというのは、コスト感覚というか工事費が私たちのイメージに近いんですよね。工務店によってはどうしてこんなに高い見積りになるの!?いうことも実際ありましたので(笑)。そういう工務店は、お客様にご紹介できないですよね。逆に、この設計でこの工事費は無理でしょう!?という話がお二人から出てこないので……実は、ほっとしているんですけど(笑)」
▲手作業で解体する様子
▲現場で加工する大工さんたち。▼

『工事』その13

◆家には、いろいろな正解がある◆

「最後に、家造りをしていてよかった。これからも続けていこうと思ったこと。そんな話を聞かせて欲しいんですが……。」
「やっていてよかった!と、いつも感じていますけど(笑)。私は元々現場が好きなタイプなんで……住宅の建築は、お客さんと直に触れ合っていろいろお話ができるから、相手の顔が見えて表情が分かる。それに、温かい言葉もいただけますから、本当にやりがいを感じることができます。最近は、営業マンの代わりなっていただけるというか、お客さんが知り合いに声を掛けてくださって……仕事が繋がっています。これからも、やりがいを持って続けていきたいと思っています。」
「武田君は?」
「やはり、お客様が喜んで下さること。工事が完成した時に満足して下さることが一番嬉しい。」
「小栗君は?」
「先日、床暖房の調子が悪いという電話をいただいたので、久しぶりに稲沢市のS邸へお邪魔したんですが……娘さんが大きくなっていて。」
「ほう、そうですか。」
「はい。あのお宅では、子供たちが大きくなった時のために、ハンモックやロフトを造ったんです。」
「ああ、造った造った!」
「それで、ハンモックやロフトが楽しいと言っていたので……よかったなぁと思いました。」
「懐かしいねえ。あのお宅のリフォームは何年前に完成したの?」
「4年くらい前ですねぇ。」
「長井君は?」
「家造りは、会社の中で図面を描いているだけとは違って、いろいろな価値観を持ったお客様に会えることがいいですね。やはり工事が完成して、喜んでいただいて、お礼を言われるときが一番うれしいですね。」
「毎週土曜日、女性スタッフはもう大忙しで、ほとんど事務所にいない状態ですけど(笑)。皆が楽しく仕事をしてくれているようで本当にうれしいです。じゃあ最後にサンケンホームさん、閉めてください。」
「(笑)住む人が満足する家には、いろいろな正解があります。使い方や生活のパターンがいろいろありますから。教科書に書いてあるような、これが正解ですよという答えはないんですよね。だけど、答えに近いものをプロとしてお客さんにアドバイスする。そして、お客さんが心地良いと思える住まいを一緒に創り出して喜んでもらう。その最後の感謝の言葉。それが私たちの生き甲斐ですよね。同時に、現場で働いた人たち、菅野企画設計の所員の方たち、どちらかが喜んでも、誰かが泣いたらいかんから……皆が喜んで創りあげることができたら、こんな幸せな仕事はないんじゃないかと思います。」
全員
「ありがとうございました。(拍手)」
工事中もお客様とコミュニケーションをとることで、お客様により満足して頂ける家ができると考えます。そうした打ち合せも、家を建てた時の良い思い出となり、家への愛着も増すはず……。
何百棟・何千棟建てても、同じ家はありません。だから、完成まで最後に「笑顔」で終われるか不安と緊張・そして楽しみでもあります。