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2020.1.28

現況調査と「限界耐力計算」で伝統工法を継承する耐震診断(中村)

2020.1.28

Category: 耐震補強

愛知県の曹洞宗寺院から、本堂の耐震診断を依頼され・・・
前嶋をリーダーに、計4名で現況調査を行いました。

間取りや高さ関係を計測し・・・
柱や梁の太さ、小屋裏・床下の構造などを調べ・・・
柱の傾斜、床の不陸、その他の不具合を記録しました。

本堂は間口3間×奥行き3.5間の小振りな伽藍です。
小屋裏はとても狭く、丸太の間を体をよじりながら、調査を進めました。



  
事務所に戻り調査結果を図面にまとめ、耐震要素を確認し・・・

これから 「限界耐力計算」を使って、本堂の耐震性能を評価していきます。 

この計算方法は
・土壁や足固めなどの変形も耐震力として評価できる
・「建物の特性」と「地震の特性」ふたつの影響を考慮して計算出来る

以上の理由で、伝統建築の耐震診断にはうってつけです。


「限界耐力計算」の計算自体は、弊社の先輩を含め先人たちがツール化してくれているので、難しいものではありません。しかし、解析理論は複雑です。


 
計算結果をしっかり理解するためには、構造力学、耐震工学、振動工学などなど、幅広い分野の知識が必要です。


一方、伝統工法には、経験に裏打ちされた経験則があります。
 
この経験則と理論が合体してこそ、経験則は価値を高め、理論は深まり・・・
最も理に叶った耐震診断、耐震補強を行うことができます。

菅野企画設計では、スタッフが調査と構造計算を一貫して行い、伝統工法による耐震診断と補強を設計しています。

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